新潟の映画野郎らりほう

マンチェスター・バイ・ザ・シーの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

3.7
【不器用なキャッチボール】


路傍に棄て置かれた漂白な球。それを不意に拾い上げ、捨てる様に -地に叩きつける様に- 投げるリー(アフレック)。その取り辛いボールを、追い戻り なんとか拾い上げるパトリック(ヘッジズ)は「捨てておけ」と言うリーに対し、不器用ながらそのボールを投げ返す-。

停滞顕すかの様に多用されるフィックス主体のショット。忘れ去る事叶わぬかの様にインサートされる 刻と記憶の錯時交差。海疾る事忘失した繋留された侭の船…。
説明科白は勿論、明け透けな心情吐露等も(特に主人公リー)徹底擯斥した寡黙な作風でありながら、“画で”“動きで”静謐に -十二分に- 伝えきる話法が素晴らしい。

ランディ(ウィリアムズ)とリーとの立ち話場面も、後景/構図共 考え抜かれており、両者の関係性をより一層強く刻印付けている。




《劇場観賞》