もものけ

潜入者のもものけのネタバレレビュー・内容・結末

潜入者(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

レーガン大統領政権下のアメリカ合衆国で南米より持ち込まれる麻薬が、社会問題となりアメリカは"ドラッグ戦争"へと突入していた。
関税局職員ロバート・メイザーは、小物のドラッグ・ディーラーを検挙する捜査を終え、家族の為にも"潜入捜査官"として危険に身を置く職を辞める決心をしていた。
同僚のエミールが、"メデジン・カルテル"の税務管理をしている男の情報を掴んだと持ち掛け、ロバートは一度は決意した退職を取り消し"麻薬戦争"へと見を投じてゆくのだった…。





感想。
南米からの麻薬問題をテーマとした作品は数多く、人気のジャンルとまでなっております。
そのほとんどは、警察による"麻薬戦争"や麻薬に溺れる市民を描いたり、カルテルの組織をドラマとして描く作品が多い中、こちらの「潜入者」は関税局職員の捜査官という珍しい設定で、税関の潜入捜査官である本人の回想録を映画化したものです。

税関の捜査ということで、麻薬の流れを追うのではなく、金の流れである”資金洗浄"から組織のトップを捕まえるという発想なので、ド派手なアクションや麻薬の恐ろしさを描く作品とは違いますが、回想録なだけあって妙にリアリティがある演出でございます。

映画よりも「ブレイキング・バッド」で有名な俳優ブライアン・クランストンが、地味な捜査官を演じていますが、個人的には大好きな俳優ジョン・レグイザモが相棒としてキャスティングされているのに注目してしまいがち。

妻帯者が二重生活をしてカルテルに近付くという設定で、危険と隣り合わせの生活というスリリングさを演出していますが、多少無理のある演出でバレバレ。
それなのに都合よく展開してしまい、余りに上手く行き過ぎているので、あえてヤバい話を隠して回想録にしたかのようでもあります。
前半はスリリングでしたが、中盤からはスローテンポで展開がマンネリ化するので、やや飽きてしまうところもあります。
"Cチェイス作戦"という与えた影響は絶大でも、地味な作戦でもあった資金洗浄からノリエガ将軍を洗い出す税関主導のストーリーだからかもしれませんが、やや友情物語に比重を置きすぎて、駆け引きなどの面白さが掛けてしまっております。

大物パブロ・エスコバルとは直接取引できてない点は、リアリティがあって良いです。

全てを終えて家族の元へ帰ってゆく演出は、「フェイスオフ」を意識しているのでしょうか。
でも全く感動できなく陳腐な演出に見えるのは、妻帯者だからとコールガールを断りながら、美人の同僚とイチャイチャなラブストーリーを繰り広げる主人公のいい加減さが、悲壮感漂う潜入捜査の緊張感からかけ離れているからでしょうか。
「フェイスオフ」では、号泣してしまったんですけどね、やはり子供を中心に語られると脆いからですかね。

新しい視点からの"麻薬戦争"を描いた作品で、それなりに良かったので、3点を付けさせていただきました。
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