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The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめのryutaroamanoのレビュー・感想・評価

4.0
これまでのソフィア・コッポラの作品とは 180 度ちがう傑作。まず映像が、美術が、衣装が素晴らしい。こだわりぬいたフィルム撮影、照明をまったくつかってない、自然光による表現、一方で現代的な色調、絶妙なヨーロッパ・ビスタ・サイズ、そしてなにより、ほぼすべてのカットで完璧な構図--どこをとっても悪いところが見当たらない。そして、なにより印象的なのは音楽のつかいかた。それこそソフィア・コッポラの方法がすべてひっくり返されており、ここでの音楽はソフィア・コッポラの自意識の発露ではなく、脚本と登場人物たちと映像に寄り添った最高の演出として音楽がある。フェニックスの提供した音楽には驚かせられた。

それと、俳優たちがほんとうにすごい。特にコリン・ファレル。あの微妙な表現力にものすごい底力を感じさせられた。あとはエル・ファニングの媚びやエロティックでムーディーな演技。圧倒的だった。それにしても、ソフィア・コッポラ、なんでこんなにいい映画が撮れるのに、これまでそれをやらなかったんだろう(笑)。いや、もしかしたら、ソフィア・コッポラは、ただカンヌやシネフィルに尻尾を振っているだけなのかもしれない。どうだろう。……でも、『ザ・ビガイルド』はそんな邪推抜きにして傑作だ。