ゾンビ映画のように一つのジャンルとして確立してしまった感のあるサメ映画、頭が増えたり空から降ってきたり地面を泳いだりとやりたい放題だが、そんな中でこんな真っ当な映画が出てくると逆に新鮮に感じてくるのが不思議な感じ。
医学生ながらも母の死から医者への道を挫折しかけている女性(ブレイク・ライブリー)が、逃避のために母の思い出の秘密のビーチで趣味のサーフィンをしようと一人やってくるが、そこには腹を空かせた一匹の鮫が…というお話。
今作の鮫は何ら特殊能力を持たないノーマルな鮫で(それが当たり前なんだが)、ただ単に飢えを満たすためだけに襲いかかってくるんだけど、それがかえって恐ろしい。対する主人公は医学の知識を活かしてランボーばりのセルフ治療をしたり、サーフィンの経験から鮫との距離を測って的確な逃げ場所を探したりと、人間の知恵vs.鮫の本能のタイマンガチ勝負という感じが面白い。
セリフにもあるように、襲いくる鮫=死との戦いは、病気で亡くなった母が最後まで闘病していたことの追体験のようなもので、それを乗り越えることで母の死からも立ち直ることが出来る…というのはスマートで良い語口。
ラストシーンの爽やかさや海の美しさなんかも含め、どこかオシャレさすら感じるサメ映画だった。
(2018.35)