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終身犯のBACのレビュー・感想・評価

終身犯(1962年製作の映画)
4.6
・アマプラでもうじき観れなくなるよと告知され、ジョン・フランケンハイマー作品として観なくちゃと思いつつ観てなくて、自分の中で宿題になってた一本だった。それでもやはり上映時間が2時間47分ともなると、事前にちょっと「観るぞ!」という覚悟をする必要がある感じね。

・これが実話の映画化というのに驚く。小鳥の研究で大家になったのもすごいが、それを通して非行中年が更生というより理性的な「大人」になっていく様が感動的だった。

・息子を救うため減刑に奔走した母親と聞くと美談のように思えるが、子離れできず自立されるなら監獄にいてもいいや、という感じは「問題の核心はあなたなんじゃないの?」という気もする。獄中でも結婚して親離れして自立しようとするストラウドには「嫌な母の愛」になってしまったろうな。大事にしていた母の写真を自ら焼くシーンは印象的。

・監獄と鳥籠、そこにいるストラウドと小鳥という状況の対比も、観る側に「同じだ」と思わせる。実話だし結果的に似てしまったんだろうけど、出来すぎって感じで上手いね。じっと孵化する様子を撮らえる場面とかそう思わせる。

・ちゃんと仕事はしてる刑務所長だけど、結果としてアンチヒューマニズムになってないかい?という指摘。こうなりかねないのは誰にでもあるはずだからちょっと痛い指摘ではある。

・刑務官の人いいな。ストラウドに人としての付き合い方を指摘する場面は印象的。顕微鏡も差し入れしてくれるし、突然な別れにも涙ぐんでくれるし。
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