ペコリンゴ

オリバー ニューヨーク子猫ものがたりのペコリンゴのレビュー・感想・評価

3.9
記録。
都会の隅で輝くはみ出し者たちの気高さ。

原作はチャールズ・ディケンズの『オリバー・ツイスト』。ディズニー長編アニメーション第27作。しかしビリー・ジョエルが声優とはたまげたなぁ。

『リトル・マーメイド』に始まるディズニー・ルネサンス前夜、所謂1980年代の低迷期に分類される作品と思われるのだけど、当時の興行収入はともかくとして紛れもない良作。

5匹の野良犬たちと借金に塗れ貧しく見窄らしい風貌の冴えない男。売れ残りの子猫は、身を寄せ合うように暮らす彼らの仲間入りを果たすも、裕福な家の女の子に引き取られ…

NYが舞台だけに、ディズニーにしては珍しく明暗含め都会的な香りをふんだんに感じる作品。

寒々とした大都会の底辺に感じる温もりはまるで暗闇に差す一筋の光のように際立って美しく、一方でクライマックスの救出劇で魅せるスペクタクルも一級品。

ディズニーの歴史においてはマイナーな部類なのかもしれないけど埋もれさせとくのは勿体無い。底辺に暮らす劇中のキャラクターたちが見せた圧倒的爆発力のように、再評価される時が待たれる、そんな作品に感じました。