磔刑

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリーの磔刑のレビュー・感想・評価

1.5
「ハン(グレ馬鹿野郎が)ソロ(いに揃ってお祭り騒ぎ)」

継続中の新三部作(Ⅶ、Ⅷ)といい、どうも公式同人作品の印象が払拭できない。個人的にはまだ前三部作(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)のスター・ウォーズの名を冠したスーパーチャンバラ映画の方が好印象。今のはスター・ウォーズの名を模した創造性の乏しいファンアートの域を出ない。

まずドラマが貧弱過ぎる。派手なアクションやチェイスシーンで画面を盛り上げても、画面場を右往左往する人物の動機や葛藤、目的が漠然としてるので全くエモーションを感じることが出来ず、金のかかった映像だけが垂れ流されてる印象しかない。それにハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)唯一の動機が、地元(クソ田舎)に残した彼女(ヤンキー)を救うため、イカした(迎えに行っても恥ずかしくないような、成功した自分を見せつけイキる為の)スーパーカー(宇宙船)を買うため、非合法なバイトで一攫千金って。そんな『ワイルドスピード』感溢れるDQN的思考に一般人が共感するんですかね?ましてやスター・ウォーズ好きのナードが。

そもそもハン・ソロってスピンオフ作品を製作する程の魅力ってあります?個人的には借金取りから追いかけ回され、ポンコツ愛車で毛むくじゃらの友達と逃げ回ってる小悪党って印象しかないんですけど?まぁ、そのコメディーリリーフとまでは言わないものの、トリックスター感あるところが、SF革命劇の中で異色の存在感を放ってたのは事実だけど、やっぱり所詮は大義も志しも無い小悪党であって、そんな人物を主役にする事自体、無理があったし、先述したドラマの弱さに直接繋がっているように思える。
それに旧三部作(Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ)に至るまでのハン・ソロの前日譚に誰も興味無いっていうね。なぜならスター・ウォーズ作品群においては著名なキャラクターではあるが、帝国対共和国、ジェダイ対シス、フォースの血脈、ミディ=クロリアン云々がメインであるスター・ウォーズ・サーガにおいては重要ではないからね。要するにソロが右に行こうが左に行こうが、スター・ウォーズ史の大きなうねりに何の影響もないので、スピンオフとはいえシリーズの中で大した意味も持たないのは明白で、それが作品の熱意と創造性不足の原因になっていると思う。
キャラクターの好き嫌いに関係なく、主人公として祭り上げる事に無理があったし、ましてや本作のように王道ヒーロー的に演出するなら尚更だ。

正直、アメコミ映画といい、この手のシリーズ系作品も斜陽に差し掛かってるなと思った(興収的にはまだ伸びしろがありそうだが、肝心の内容が80〜90年代のコスプレコミックムービーと大差ないどうしようもない出来)。実際、期待値よりは興収が伸びなかった為、スター・ウォーズシリーズの今後の計画を見直さなければならなくなった訳だし、何より観客が飽き始めた感あるよね。
先人の威光におんぶに抱っこで相撲を取る濡れ手に粟の殿様商売でコスプレクソ映画を連発する映画産業にも、いい加減辟易する。まぁ、配給や製作サイドも稼げないと分かれば簡単に切り捨てるだろうし、実際、そうなってくれれば業界が幾分かは健全化するので良いのではないだろうか。

いや、そもそもスター・ウォーズで描かれる体制批判、帝国の崩壊を拝金主義の体制側、帝国サイドの意向に沿う事が第一で作られてるんだから作家性や先進性、クリエイティブもクソもあったもんじゃないな。いやーこんなアホらいし話もない。
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