とりん

メイズ・ランナー:最期の迷宮のとりんのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

アメリカで2014年、日本では2015年春に第1作、そして2015年秋に第2作、そして2018年、3部作最後となる待望の完結編が公開
この手の作品はハンガーゲームが先にバカ売れしてしまったため、少し二番煎じな感じはするが、このシリーズは個人的に好きなので楽しみにしていた
とっちらかって終わる心配もあったけれど、それなりに上手くまとまっていたと思う

前作でかなりのスケールアップして、世界を変えるくらいの動きを見せるので、1作目とはえらい違いだ
前作まであった常に緊張感のある感じは今作ではそこまで感じず、仲間を助けようとし、結果的に世界を変えようとしていく、ドラマ性のが強かった
中心は前作最後でさらわれたミンホを奪い返すというもの
ちなみに前作で気になってたエリスの行方だが、仲間たちとともにやはり連れ去られていたようだ
ただ彼の出番はほんの序盤のみ

基本は1からのメンバー、そして2からの主要メンバーであるホルヘとブレンダを中心に描かれている
一応前作から半年くらいの話である
ブレンダはトーマスのことが好きだったのか、ホルヘとの愛は親子としてのものかはハッキリしなかった

これまでの伏線を全て回収しきれたわけではなく、ツッコミどころも多いけれど、一番ひどい展開にはならなかった
結局感染者はゾンビ的なノリで凶暴になるだけでなく、人肉を食らってる感はある
凶暴で無差別に人を襲うわけじゃないようだ
ドラマ性が強いからこそのそれぞれの葛藤は描かれていた
変えようとしている世界は本当に正しいのか
感染の治療薬を見つけるためとはいえ非人道的にやっているWCKDに対する嫌悪、その体制の崩壊を求める主人公たち
対するWCKDは元の世界を取り戻すために治療薬を何とか見つけ、少しでも生存者を増やそうとしている人たち
一概にどちらかが正しいというのはないのだろう
たしかにWCKDがやっていることは人種差別含め、本当にひどいことだらけだけど、実際に治療薬を作るためにはこれくらい隔離や万全の体制を立てないと無理だと思う
そしてその抗体を持ったトーマスの葛藤
WCKDに立ち向かう途中で失った迷路からずっと一緒にいて親友とも呼べるニートを感染によって失い、目の前で苦しみながら狂気と化していった
最後には救うともできず、自ら命を断つことも止めることができなかった
ここのニートとトーマスのやりとり、もちろんニートが感染した時点でいつかこの時が来るのはわかっていたけれど、少しずつ弱っていく彼の姿を見ていて心苦しかったし、最期のシーンは思わず泣きそうになった

自分が特効薬になる、世界を救えるとテレサが言ってくれたが、一度は裏切られた身(もちろん彼女も全てが本意ではないが)、信じることができず、もしかしたら救えたかもしれないニートを失った
そのやるせなさに覆われて、WCKDに自ら向かうシーンはまた胸を打つ
ただここからが若干蛇足で、ラスボス決戦と言わんばかりのヴィンスとの死闘
そして予想通り結果的にテレサと和解した後に失うという流れ

ドラマ性強めたのは悪くないけど、前回までのハラハラ感を失いすぎてたのもあり、少し物足りなさ
そしてまさかのギャリー復活も個人的にはちょっと
今回も日本向けの副題はやってくれた
最後の迷宮って…それにキャッチコピーも伝説の迷路に逆侵入せよというのはあまりにもひどい
たしかに彼らが閉じ込められていた実験場含むWCKDに侵入するけど、迷路要素なんて微塵もない
メインタイトルにメイズとあるのだから、何度も迷宮なんてつけなくていい
観ようとしているものを混乱させる最低な宣伝文句だと思う
今作品でもう一つ気になったのはエンドロールの短さ
これだけの世界規模の展開を見せたのにも関わらず、思ったよりかなり短かった
おそらく前2作より圧倒的に短い
今までで一番規模は大きいと思ったのだけれど、この作りはどういうことだろう
とりん

とりん