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世界にひとつの金メダルの小のレビュー・感想・評価

世界にひとつの金メダル(2013年製作の映画)
3.5
エリート弁護士から馬術の障害飛越競技選手に転じ、金メダルを獲得した人物の実話とくれば、特訓して這い上がってみたいなスポコン的展開を予想するのだけれど、そこはフランス映画だからか、がっつりヒューマンドラマだった。

1988年のソウル五輪で金メダルを獲得したピエール・デュラン。子どものころ父親と一緒に障害飛越競技に打ち込んできたのだけれど、期待から逃れるように弁護士となる。しかし未練が残り結局、馬術の道に戻ってくる。

彼はプライドが高く、傷つくことをとても恐れる性格のようだ。そのため失敗したり、困難にぶつかると、誰かのせいにして、激高したり、あきらめたりするから、金メダルを取れるような気がしない。

それでも少しずつ変わっていくけれど、その理由がリアル過ぎるかも。ドラマチックな出来事が起こるのではなく、周囲の人にズバズバと欠点を指摘されるのだ。その指摘はいちいちもっともで、自分が叱られているみたい…。

でもね、モデルの金メダリストが実在するわけですよ。仮にこれが事実に即したエピソードだとしても、こんなに遠慮なく赤裸々に描いて、怒られないのかしら…。日本人だったらもっと気をつかいそうな気がする。

というような点に興味が湧いてくるものの「金メダルへの道」的物語としてはしょぼく感じてしまうことは否めない。成長のきっかけが叱咤って、子どもかっ、て感じ。

小柄で、気性が激しい半面、跳躍力がとても高いジャップルーと人馬一体となって飛ぶ障害飛越競技のシーンは、美しく、良くできているなあと思う。詳しい人が観ればその凄さがもっと良くわかるかも。

ただ、感動のドラマというよりは、ちょっともどかしく、一緒に謝るから早く謝れ、みたいな。

国の誇りである彼の苦悩や葛藤は、フランス国民なら自らを置き換えて素直に感動できるのかもしれない。もっとも、本当にそういう気持ちになるか知りたいから、誰か日本人金メダリストの赤裸々な映画を作ってくれないかしら。

●物語(50%×3.5):1.75
・実話ベースだとしても、リアル過ぎではないかと。金メダル獲得で興奮した人なら、これでいいのかも。

●キャスト、演出(30%×3.5):1.05
・乗馬経験のある監督と主演男優が描く競技のシーンは見ごたえアリ。

●映像、音、音楽(20%×3.5):0.70
・乗馬のシーンは迫力があるかな。
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