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ゴジラ-1.0の小のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

映像は素晴らしいけれど、演出がなあ…という感想。過剰な感情表現に加え、言葉でなんでも説明するというバタ臭い演出に気持ちが冷めてしまう。映画に芸術性を求める方々には評判悪いだろうなあ、という気がした。

しかし巷の評判はすこぶる良い、気がする。ゴジラ映画としてはもちろん、日本映画の“到達点”と言う人もいるくらい。それで自分の感想に疑いを持ち始め、2つの点について考えてみた。

ひとつは“到達点”って何?

映画を娯楽性と芸術性にざっくり二分すると本作は娯楽性の映画であることは間違いないのに、私はやや偶像化された「ゴジラ映画」という色眼鏡で見て芸術性を求めていた気がする。

だから芸術性を脇において見直すと、怪獣「ゴジラ」を材料に、過去・人生を持つ主人公が、仲間とともに困難を克服して目標を達成するというストーリーが成立していて、大人も無理なく楽しめる内容になっている、ように思えてくる。

進歩を続けるVFX(視覚効果)のおかげもあって、本作は同種ジャンルのハリウッド映画と、ひょっとしたら肩を並べる水準にあるのかも、というのが“到達点”の意味するところですかね。

もうひとつは「ゴジラ」って何?

私の妄想を言えば、本作のゴジラは主人公の敷島浩一(及び元海兵隊員)にとっての神。ゴジラは敷島に試練を与えつつ、特攻から逃げた敷島の特攻対象の身代わりとなって、敷島に赦しを与える。生き延びたことに負い目を感じている元海兵隊員にとっても同様だろう。

私はゴジラに強い思い入れはなく関連作はほとんど観ていないけど、これまでのゴジラって核爆弾(戦争)や天災のメタファーだったり、人類の味方だったりと、人類にとってマイナスかプラスかの存在として描かれてきたのではないかと(違っていたらスミマセン)。

そうしたゴジラから超越し本作のゴジラが、試練と対峙し「いかに生きるべきか」を考え、実行した人間に赦しを与える存在であったとすれば、「?(はてなマーク)」な感じの最後の敬礼は、神への敬意とスッキリ考えることができるのではないかな。
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