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哭声 コクソンのギルドのレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
4.3
韓国映画巡り第8弾。

一言でまとめるならチェイサーの陰鬱さと薄気味悪さを掛け合わせた得体のしれない映画でした。
血塗りの映し方から雨が魅せるノワール的テイスト、胡散臭さとミスリードの畳掛けによる不気味さなど…ホラー映画を見てるんじゃないかと思うほどゾッとする演出に心つかまれました。

 チェイサーの殺人が絡むシーンがそうでしたが、糸がはち切れそうなほど緊張感を高めるシチュエーション作りが秀逸でした。特に神として象徴されるとある動物と國村隼が関係するシーンがもたらす恐怖・悍ましさのじわじわと心に刷り込まれるような与え方が凄かったです・・・そのくらい映画の演出と國村隼さんの寡黙な演技が薄気味悪い映画を象徴していて一番の見どころだと思います!
血を交えた陰鬱さの描き方がめちゃくちゃ上手いし髑髏にそこはかとなく見えるシーン、食事している・吐いているだけなのに気味が悪いシーンなど、何から何まで気味が悪いけどストーリーラインの流れを壊さない露悪さが先行してない部分も良かったです。
序盤のルカによる福音書24章の引用で本作のテーマを掲示する「虚偽/真実の玉石混交と疑い」がチェイサーの陰鬱さの作家性と絶妙なバランスで組み合わさっているし、それに加えたファンタジーさがもたらす不気味な世界観が見事に組み合わさった一作でした。

 そんな陰鬱さ/不気味さが強い本作だけど、一抹のお笑いがチェイサーと同様にしれっと入ってかつ強烈に仕上がっていてそこも良かったです!
2時間半と尺が長めな本作、映画始まって1時間くらいに國村隼とジョングがイサムの通訳を通じて会話するシーンがあってそこが最高でした!
後半のジョングの口調とイサムの翻訳の追いつかなさ/おどろおどろした通訳のギャップが物凄く面白かったし、面白い以外のストーリーラインとしての機能性もあったかな。
そこをターニングポイントに前半の演出的不気味さ/陰鬱さとはうって変わった物語としての深み/それがもたらす不気味さを魅せる作りが秀逸で尺の割にテンポを良くしていたと思います。

チェイサーの世界観にハマった人は哭声も楽しめるし、チェイサーの良かった陰鬱さ/しれっと入るコメディが色濃く仕上がっていてオススメです!
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