新潟の映画野郎らりほう

アリー/ スター誕生の新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)
2.3
【Shallow】


一晩飲み明かした翌朝、アリー(レディーガガ)宅前で車両窓越しに彼女を見送るジャック(クーパー)の相貌を覆う表情視認困難な深い影がその後の二人を暗示する。

全編通じて頻出する“明滅照明”の用法。帽子やベルトへの意味の付与。人物最接写に依る後景“シャロウフォーカス”から立ち上る主題系 ~等、一応優良点は挙げておくか。


シネマスコープを無視した極度表情クロースアップの連続は、ジャックの身体的障壁や 前述した『二人だけの世界』を喚起させはするものの、後景/構図や人物配置/所作行動で以て伝えられる種々様々なものを映画から悉く逸失させる。
それら『俳優の表情演技と歌曲に依存』した人物過剰接写は 画面情報を極めて“薄く浅く”する一方で、音楽祭壇上場面に顕著な“引きの全身像”が多数挿込まれるシーンでは、その顛末が容易に予想出来る弊害を生じさせている。
更に「各俳優スケジュール優先に依る別撮りの疑惑」や「美術セット等スタッフワーク不全」等の、本来『観客に意識させるべきにない裏事情』をも透け見えさせる始末である。


同構図の反復や アイテム/モチーフを駆使し語るべき最終極に、簡便に挿込んで良しとするフラッシュバックも“浅慮”に過ぎる。




《劇場観賞》