きよぼん

ワンダー 君は太陽のきよぼんのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
3.7
感動と、ある意味での残酷さを感じた映画。

遺伝的疾患により、人と顔が違う少年オギーが、学校に通うようになるところから物語は始まります。

いわゆる「普通」だと思いこんでる自分たちの生活の中に、少し変わった特徴の人が入ってくる。たいていの人が経験していることです。そして多くの人が、どう接してよいかわからずに、距離感がつかめないまま、失敗したような経験があると思うのです。

この映画はオギーくん以外にも、周りの姉や友達に視点を変えて描かれていきます。オギーくんの周りにいる人たちというのは、あのとき「失敗した」自分のことであり、こうすればよかったのか、という救いの物語となっています。

この映画の中の「奇跡」というのは、オギーくんだけのものではなくて、周りにいる人が少し意識を変えることで起こること。特別な誰かのものではなくて、みんなが少し意識を変えるだけでいい。そんな優しい映画でした。

しかし…映画をごらんになった方ならわかりますが、1人だけこの「奇跡」の輪の中に入れなかった人物がいるんですよねえ。エンディングの大円団にもその姿なし。

語り手の視点が変わる映画のなかで、こいつはいったい何を語るんだろうと思っていたのですが、視点がその人物に変わることすらありませんでした。小説の続編ではその人物にスポットが当たるみたいなのですが、映画版ではその要素はバッサリと切られていました。時間が足りなかったというよりは、意識的にその人物の要素をカットしたように思うのです。

そこには、全員が無条件にハッピーエンドになれるわけではない。あんなことをしている人物には「救い」は訪れない。自分の意識を変えないかぎりは「奇跡」の輪の中には入れない。という厳しい現実をつきつける残酷さのようなものを感じたんですが、みなさんはいかがでしたでしょうか。

まあ、小説読んでみるかな
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