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ワンダー 君は太陽のKKMXのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
3.6
完全ノーマークの映画でしたが、フィルマでの超高評価を受けて鑑賞。

確かに感動ポルノなどではなく、オギーとその周辺の人たちの葛藤を誠実に描いた映画でした。

が、個人的にはピンとこず。
序盤、オギーの初登校シーンで父親の「孤独ではないんだ」という励ましには涙しましたが、それ以降はいじめっ子ジュリアンの背景が語られるパートでグッと来た以外、特に胸に迫るものはなかったです。結構、フーンって感じで終わってしまった印象。

原因ははっきりしています。それは、たくさんのエピソードを詰め込み過ぎており、それらがしっかり掘り下げきれてないからです。時間ないなら絞り込めよ。ミランダの話とかなんなんだよ。
本作への不満は正直そこくらいで、テーマやストーリーはかなり素晴らしいと思ってます。しかし、私はエピソードを丁寧に掘り下げて描写しない映画を好まないため、本作は十分に楽しめませんでした。
つまり、構成が好みに合わなかったのです。

物語は好きです。善人ばかりの都合のいい夢物語に見えますが、内容やテーマはリアルだと感じました。外見は慣れるとか、友人が出来て世界が変わる感覚とか、聞き訳の良い子が実は葛藤を抱えているとか、問題を抱えている子には必ずなんらかの背景があるとか、安定した守りがあれば一歩踏み出す勇気で自分の世界を変えられるとか。
このように結構本質的なことが語られており、だからこそただの泣かせ映画ではなく、かなりの高評価を勝ち得たのだと思います。

また、本作は身も蓋もないスーパーリアリズムを語っています。それは、
『経済的に安定した家庭と、豊かな愛情を与えつつ本人の主体的を重んじる素晴らしい家族を持ち、それに裏付けられた柔軟で前向きな性格、さらに高い知能を有するとなると、問題解決能力が非常に高くなるため、自尊心と自己効力感に恵まれ、その結果人生イージーモードとなる』
ということ。オギーを見ているとしみじみそう感じます。彼は持たざる者ではありますが、それ以上に持てる者でもあります。本作はオギーの決定的な成功体験を描いており、今後彼はかなりの無敵超人になっていくと予想されます。
(しかし、成人後に成功しすぎて「俺は顔以外完璧だぜフフフ」みたいに思い上がり、中年期でナオンで失敗する可能性大。そううまく行かないのが人生のワンダーなところ…なんてイジワルな妄想)
確かにあの顔で生きるのは大変ですが、オギーよりもジュリアンの方がしんどい人生を送ることになると思います(すでに送っているか)。あと、ジュリアンのイジメって途中から嫉妬も入ってきてますね。

そんなジュリアンがトラブルを起こした後に、校長に語った言葉は良かったです。ジュリアンの物語は、短いながらも説得力がありました。
続編はジュリアンでお願いします。
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