ゆめちん

喜望峰の風に乗せてのゆめちんのレビュー・感想・評価

喜望峰の風に乗せて(2018年製作の映画)
3.0
喜望峰の風に乗せて(The Mercy)

とても切なくて虚しくなる作品でした。
レイチェル・ワイズは芯の強い女性役がとても似合いますね〜。

1968年イギリス、ヨットによる単独無寄港世界一周を競うゴールデン・グローブ・レースが開催され、会社を経営するアマチュアセーラーのクロウハースト(コリン・ファース)が名乗りをあげます。

序盤でクロウハーストが、不十分な設備と短い準備期間で、危険であると分かりながらレースに参加しなければならなかったのか、そしてそこに至るまでの心の葛藤が丁寧に分かりやすく描かれています。

出航してからは、終始孤独感と絶望感が漂い、徐々に追い込まれながら行き詰まっていき、正気を失っていくクロウハーストを正しい人間とは言い難いですが観るに耐えられませんでした。

時折挿まれる回想シーン、家族愛や夫婦愛に溢れる幸せな日々を過ごし、穏やかな他愛もない会話や子供たちの笑顔が絶えない家族のやりとりが、孤独感や絶望感をより一層引き立ててしまいます。

クロウハーストの家族に見せる優しい表情、困難に立ち向かう表情、絶望的な表情、正気を失った表情、それぞれに味がある表情を内面から浮き出るように見せるコリン・ファースのベテランの持つ安定した演技は、さすがであり見事でした。

"いつまでこうするの?"と聞く末娘に、"いつまでなんて言わないで"と優しく言い聞かせるクレアの言葉が今も心に残ります。
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