YasuyukiMuro

浮雲のYasuyukiMuroのレビュー・感想・評価

浮雲(1955年製作の映画)
4.1
年初に観た「乱れる」に続き、成瀬巳喜男監督・高峰秀子コンビ2作目鑑賞。原作は放浪記の林芙美子。
戦中〜戦後に掛けての混乱した時代、理屈じゃない男女の業と性を描いた世界的名作、、、と言えば聞こえは良いけど、内容は、クズ過ぎる男(富岡)と懲りない女(ゆき子)のドロドロ不倫ドラマ(^_^;)

刹那的な愛情、甘い言葉と裏切り、なのに離れたくても離れられない女…。
こんなウンザリしそうな内容なのに、グイグイ引き込まれるのは、原作や脚本の素晴らしさなのか、成瀬監督の力量か?それら全てなんでしょうね^ ^

男女の会話が味わい深い!

富岡「今夜泊まってってもいい?」
ゆき子「あら、泊まるつもりで来たんじゃなかったの?」
富岡「あぁそのつもりだよ」
ゆき子「嘘!急に泊まりたくなったんでしょう、分かるわ、私ひとつ利口になった、あなたってそんな人よ、女を馬鹿にしないで頂戴、、、続く」

男のズルさや本音を見抜き、そこをズバズバ責めまくる女。でも富岡という男は決してキレない。

「みんな僕が悪いんだ、僕だけが悪いんだ…僕って人間はもぬけの殻なんだから」ってしょんぼり(のフリをする)。

そんな修羅場?が続く家の外で、近所の子供が「ご飯できましたわよ」「今行く」とママゴト遊びをするシュールさ…^^;


美しい南国仏領インドシナでの出会い、闇市の雑踏、パンパンになるゆき子、忌まわしい義兄、木造の千駄ヶ谷駅や外苑周辺の風景、伊香保温泉街、そしてクライマックスの鹿児島の街と屋久島…。

「乱れる」でもそうだったけど、当時の世相や日本各地の風景がふんだんに盛り込まれ、それを観るだけでも興味深い。
そしてどこか異国情緒を感じる切ないテーマ音楽と相まって雰囲気抜群、とても完成度の高い映画だったと思う!

PS、グズグズ感が生理的にダメって方も当然多いと思います^^;