mimitakoyaki

ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK‐The Touring Yearsのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.2
父親がまさしくビートルズ世代で、子どもの頃からビートルズを耳にして育ったあたしは、2000年に「1」を買って聴いたという程度でファンというような立派なものでもないんですが、それでも今作はビートルズのライブ映像やレコーディングの音源、デビュー以降いろんな場で撮られた写真など満載で胸アツ!
映画館で見てるから我慢してるけど、家なら一緒になって歌いまくりですよ。
ほんと楽しかった!

高1の息子がビートルズが大好きで、毎日のようにビートルズの薀蓄を聞かされるうちに何となく詳しくなったり、買い集めた中古レコードを朝も晩も聴いてるから、「1」に収録されてるようなヒット曲以外も知ったり、去年は「1」の新しいバージョンだのDVDだのを息子と一緒に楽しんだし、今年は来日50周年て事でビートルズ関連の番組もいろいろあったから、そんなんも見てたりとかしてたので、去年から今年にかけてはちょっとしたビートルズ祭という感じです。

それにしても、本作を観ながら、ビートルズはひとつの時代であり歴史なんだなと改めてその存在の大きさを思いました。
まだ初々しくて、デビュー曲からの大ヒットを無邪気に喜んでたアイドルの頃、音楽もスタイルもこれまでにはない新しいものを次から次へと生み出していって、翌年にはもうヨーロッパツアーですからね。

あれよあれよとアメリカ上陸も果たし、一躍世界のトップスターまで駆け上がり、だけど、熱狂的に注目され頂点に立つと、影響がネガティヴな方にも出だして、日本でも右翼がビートルズ来日の際には風紀が乱れるとか不良の音楽とかって言って「ビートルズを叩き出せ!」なんて反対運動したりとか、今ならアホすぎて笑いのネタになるだけですが、アメリカでのバッシングなんかは騒動が大き過ぎて笑い話では済まないし、ただ自分たちのやりたい音楽、新しい音楽を追求したいという本人たちの思いとはかけ離れて、メンバー同士の諍いを生んでしまったり、トップスターゆえの苦悩もいっぱいあって複雑な気持ちにもなります。

1960年代、アメリカでは人種差別で隔離政策もしていた時代、公民権運動によって人種差別への抵抗も始まった時でしたが、そんな激動の時代に、ビートルズは黒人を隔離するコンサート会場ではやらないと軽やかに言ってのけ、そこがほんとにかっこいいし、その事がひとつのきっかけとなって、隔離政策が緩和されていったというから、影響力の大きさにも驚かされます。
時代がビートルズを作り、ビートルズが時代を作ったんだと。
ウーピー・ゴールドバーグのインタビューでの発言を聞いて、その時代に生きた黒人たちにも夢や希望を与えた存在だったということを知ってビートルズの偉大さをさらに感じました。

ビートルズ解散直前のアップルレコードの屋上で敢行したゲリラライブは、これまでも「1」のDVDかそれともBSの番組だかで観たことありますが、それが映画館のスクリーンとサウンドで見れたこともちょっと胸がいっぱいになるくらい感動しました。
ビートルズが好きな人ならぜひ劇場で観るべき作品です。

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