踊る猫

ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK‐The Touring Yearsの踊る猫のレビュー・感想・評価

3.9
楽しいドキュメンタリーだと思った。なにより(公式が制作したものだから、なのかもしれないのだが)暗くしんみりした感じにならない後味を残すのがいい。溢れる知性/才能を備えていた四人のミュージシャンは、若い頃はパンクバンド顔負けのバイタリティに満ちたステージを行い、互いの音が聞こえない劣悪な状況でも呼吸を合わせ一体感に満ちたステージを提供していた。それは彼らが根っから音楽が好きで、それぞれの才能を認め合っていたことからも来るのだろう。だからここで響く彼らの音楽は愛に溢れていると思う(「愛こそはすべて」!?)。リアルタイムのみならず今に至るも次々とファンを生み出す彼らの才能をモーツァルトと比較することすら、単なる戯言と言っては済まされない着眼点であるように思う。だが、悪く言えば彼らが残したものがなんだったのかもっと手堅く整理してくれてもよかったのではないかと思う。文化革命を起こした彼らはファッションや政治にも爪痕を残したのだから(その意味でアパルトヘイトを否定し人種差別を一蹴するパフォーマンスを行ったことはもっと評価されてもいい)。
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