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プリースト 悪魔を葬る者のkuuのレビュー・感想・評価

プリースト 悪魔を葬る者(2015年製作の映画)
3.7
『プリースト 悪魔を葬る者』
原題 The Priests.
製作年 2015年。上映時間 108分。
キム・ユンソクとカン・ドンウォンが共演し、悪魔払いに挑む神父たちの姿を描いた韓国産オカルトサスペンス。

ひき逃げ事件にあった女子高生が謎の昏睡状態に陥り、キム神父はその原因を少女に何かがとり憑いたと見る。
悪魔払いを行うことにしたキム神父は、除霊の知識がある神学校の生徒アガトをサポート役に選び、いまや魔物と化した少女を救うため、2人は己の命をかけて危険な悪魔払いに挑んでいく。。。

エクソシズム(悪魔祓い)系の作品には、必ず映画『エクソシスト』と比較されると云う問題が起こる。
それってのは避けようがない。
個人的にもどっか比べてるのは否めない。
しかし、今作品が韓国産の悪魔祓いであることを附与するならかなりクオリティが高い物語でした。
また、今作品では、エクソシストとその新しい助手である副司祭の活躍譚とアルアルのストーリーに加え、副(助)司祭の幼少期のトラウマが肉付けされて個人的には嵌まりました。
肉体的に限界に達した少女に悪魔払いをしなければならず、それがもたらす致命的な恐怖が描かれてる。
その短く単純な前提は、意外にも身近に感じられた。
(悪霊や霊的なことは信じていませんが)
恐怖の雰囲気やら、神父たちの会話も、この種の映画ではすでにかなり知られているモンがおおいけど、今作品が違うんは、助祭の視点で語られていること。 
冒頭の軽いニュアンスでは、エクソシズム映画経験からしては、決して巧い描写やとは感じないけど、後半の怒涛のように流れる怖さ、特に残り15分からはかなり痺れた。
また、今作品は、今までのエクソシスト系の作品では表現してなかった新しい視点、コメディシーン、そしてドラマを与えてくれる(まさかエクソシストホラーで悲しみの泪が出るなんて)。
クライマックス(もちろん悪魔祓いのシーン)に向けての展開も、平坦で退屈なものではなく、サスペンスフルで面白いものになってました。
今まで観た韓国映画では、この方式はかなり使い古されてはいるけど、今作品がエクソシズムでやってのけてるのは驚きました。
また、今作品をより面白くしているのは、神父を大げさではなく、人間らしく描いているところかな。
多くの映画では、神父が信仰上の問題に直面し、それを悟る瞬間がある。
この映画も同じようなパターンで、教会に仕える男たちの不完全さ、粗忽でおっちょこちょいさが描かれてる。
そのエクソシズムバディで仲の良さが、過度に感情移入させることはないが、興味を持たせるに十分なものでした。
また、悪魔祓いの多くのシーンでは、何の説明もなく、様々な言語の呪文などで何でもやってしまうことがあったけど、悪魔祓いの背景や悪魔の本質がより詳しく説明されています。
それが今作品に深みを与えていて、とても気に入っています。
また、韓国の土俗の伝統的なシャーマンが登場することで、危険な時代には悪に打ち勝つために様々な方法を試すことが珍しくないという現実感が生まれ、スパイスを加えてた。
西洋の映画では、悪魔祓いはある特定の方法でしか描かれないことが多いけど、この点についてはあまり深く掘り下げられてなかった。
また、悪魔払いのシーンはドライに感じられたがそれが個人的にはリアルにしたかな。
また、ドラマのプロットを加えた良い悪魔払いやったし、助祭の幼少期のトラウマとの対峙や、アガトの歌った聖歌
'Victimae Paschali Laudes'
は嗚咽に近い泪がでました(疲れとんのやろなぁ)。  
ひねりがあるわけではありませんが、この種の映画では、正しい方式とプロットがあれば、普通の悪魔祓い映画のプロットでも宝石になり得るということを教えてくれました。
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