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1992年ロシア映画。よく参考にしている戦争映画マニアの方のサイトでこの映画の存在を知りました。DVD化されているのかもわかりませんが、日本ではソフトの入手は難しいと思います。しかし、鑑賞自体は容易です。youtubeに全編アップされています。ただし字幕が英語です。

字幕が英語のため、細かい事は全くわかりませんが、この映画のセリフで最も多く出てくる言葉は「Firing squad(銃殺刑)」、次に多いのが「Revolution(革命)」です。「革命は哲学ではない」というセリフも何度か出てきます。

タイトルのChekist(チェキスト)とは、チェーカー隊員のこと、チェーカーとは、ロシア革命後にレーニンが設立した反革命分子を取り締まるための秘密警察で、GPUやKGBの前身となる組織のことです。

チェーカーの凄いところは、司法の手続きを経ない逮捕、裁判、銃殺の権限を単独で有しており、全て現場判断で死刑執行まで行えることです。そのためこの権力に歯止めをかけるものがおらず、ソヴィエト全体が処刑場になり、無実の人間を巻き込むことを厭わず、ほとんど民衆に対するテロと呼べる行為が行われたそうです。ナチスドイツを始め、欧米に強烈な反共主義が存在したのは、このような当時の共産主義勢力による恐怖政治が存在したからです。

さて、こういった歴史の知識を踏まえれば、例え英語があまりわからずとも、この映画のストーリーはわかります。主人公は、チェーカーの幹部であるチェキストで、とにかく最初から最後までひたすら銃殺、銃殺、銃殺の嵐。銃殺前は形式的な裁判で書類の名前を読み上げ、「処置は?」「銃殺」と何度も何度も何度も繰り返します。

そしてこの一連の死刑執行が超残酷で、名前を読み上げられたものは大勢が押し込められた地下の監獄から出され、同じ地下の銃殺場で服を脱がされ、5人〜6人ずつ全裸で後頭部を撃ち抜かれます。死体はトロッコで運搬され、足をロープで吊るし地上に引き上げられ、トラックに満載されてどこかへ運ばれていきます。これの繰り返しです。そういえば、映画「カティンの森」でも赤軍兵士はご丁寧に一人ひとり後頭部を撃ち抜いていき、背筋が凍るような銃殺シーンでした。

主人公はおそらくは有能なチェキストで、顔色を変えず裁判と死刑執行を淡々と行っていきます。たとえ親族や知人が目の前で銃殺になろうとも、です。しかし繰り返される殺人行為に徐々に悩み苦しんでいき、ラストは精神が壊れ自ら全裸となり銃殺場の前に立ち、取り押さえられることになります。

ナチスがガス室を発明したのも、銃殺を行う兵士の精神的な負担が大きすぎたためであり、銃殺を行う隊員たちにはその前後に酒が振る舞われ、しばしば泥酔したまま銃殺を行う者もいたそうです。「炎628」にも酔っ払ったまま機関銃を乱射する兵士がいましたね。この映画でも、銃殺隊員がドラッグを吸い込んでいるようなシーンがあります。

はっきりいって見る必要は全くない映画ですが、凄まじいカルト映画とも言えるので、そういったものや、この辺の歴史にどうしても興味がある人は、見てみるのもいいかもしれません。憂鬱度MAXです。評価不能なので敢えて点数は無し。

他にも共産主義関係だと、Filmarksに映画の登録自体がないようですが、スターリンがウクライナ国民に対して行った、500万人が犠牲になったとも言われる「ホロドモール」と呼ばれる飢餓テロを描いたFamine-33という映画があるらしいので、いつか観てみようかと思います。だからウクライナ国民はソ連に敵対するナチスに対して協力的な人間が多かったんですね。