昔々のお伽噺、子供向け童話に翻案される前の原型みたいな３編の物語は、さすがにどれもグロテスク。映画のロケーションもビジュアルもゴージャスでシュールで期待を裏切らない。それぞれの主人公、真紅のドレスで恐ろしいほど威厳ある王妃サルマ・ハエック、無邪気な乙女が怪物の花嫁になるベベ・ケイヴ、美醜に皮引き裂かれる哀れなシャーリー・ヘンダーソンとヘイレー・カーマイケルは素晴らしく残酷で見応えあり。対照的にあっさり死んじゃうジョンCライリーやバカ王ヴァン・サン・カッセル、お前のせいで娘が大迷惑なトビー・ジョーンズらはとことん愚かで滑稽な存在。ぴったりなキャスティングだ。色々アレンジされてると思うけど、特に「美女と野獣」パターンを裏切る一編が現代的で、家父長制を痛烈に蹴飛ばすかのようで特によかった。
