TakaCine

新感染 ファイナル・エクスプレスのTakaCineのレビュー・感想・評価

4.5
逃げ場のない高速鉄道(KTX)内で拡がるゾンビパニック。これは気に入った(^3^)!!

劇場で予告編を観た時から「これは絶対面白いぞ!」と天使の囁き(決して悪魔の囁きではない)がしたので、公開を今か今かと待ってましたよ♪観て正解(^o^)v

『新感染』という題名から、どうせ「B級アクションホラーでしょ~」ってスルーしたら勿体ない、超絶面白いパンデミックホラーでした。

原題は『TRAIN TO BUSAN』。「釜山行き」という意。ポスターはご丁寧に「新 感染」と"新"と"感染"に空間がありましたね。なんか消臭力と同じ匂いがする。

【思いっきりが良いゾンビアクション】
爽快なくらい感染者(劇中ではゾンビとは言わない)と生存者の死闘が目白押し!画面全体が大量のゾンビに埋め尽くされます。狭苦しい鉄道内で、ハイスピードで襲い来るゾンビの恐怖はもう心臓に悪すぎ!連結部の扉を開ける度に、襲ってくるんじゃないか?と身構えてしまいます(>o<")アケナイデ~

さすがと思ったのは、KTXに初めて乗り込む感染者が徐々にゾンビになり変わる描写力。感染した場所から皮膚の色が変わり、血管がどす黒く浮き立ち、顔や目が白濁していく。それが起き上がり、体を激しく痙攣させながら向かってくる描写は驚愕(驚嘆)ものです。この場面をじっくり描写することで、しっかり恐怖感を植え付けてくれます。

この動きは『サイレントヒル』で感じた「怖いけど、なぜか目が離せない異質な美しさ」を感じます。ん、俺、変態ですかね(^_^;)?

ゾンビの動きは『哭声』の振付の方が担当したそうで、各ゾンビのバリエーション豊かな動きが楽しめます(*^^*)♪みんな、動きが独特♪空中から降ってきて、腕が変な角度になっても襲ってくるゾンビは印象的でした。

不思議だったのが、感染してゾンビになるスピードが鉄道のスピードに比例してどんどん速くなります。初めはゆっくりゾンビになっていたのに、途中からは"噛まれた!はい、ゾンビ"出来上がり。"玄関開けたらサトウのご飯"状態です(笑)血の巡りの良い方はすぐ感染しちゃうんですかね?酒飲むとすぐ赤くなる自分も、すぐゾンビになることでしょう😁

※ひゴルさんのコメントで、噛まれた場所が首に近いほど感染速度が速く、首から遠いほど緩やかに感染するらしい…と教えてもらいました。そこ解ってなかったです。納得です(*^^*)!ありがとうございます!!

楽しいのが、とにかく大量のゾンビが出てくるっ!!ハイスピードで追っかけてくるし、群がるし(ロメロの『ゾンビ』を思い出します)、折り重なるし、空中から降ってくるし、まさに『ワールド・ウォーZ』。アーミーゾンビ軍団が戦闘能力が高くてお気に入りでした。

怒濤のゾンビ襲撃をぜひ楽しんでください!

【人間ドラマが熱い】
ただアクションが爽快なだけでなく、本作は人間ドラマも秀逸!鉄道に乗るまでは、主人公のソグ(コン・ユ)とスアン(キム・スアン)のギクシャクした父と娘の関係が描かれていきます。ちょっと長めで退屈に感じる方もいるかもしれませんが、ここをじっくり描くことで後半のサバイバルドラマが凄く心に響きました。

ソグは娘の誕生日に何を買えば良いかも分からない仕事一辺倒な人間。学芸会にも来てくれない。妻とは別居中。誕生日に、釜山に住む母に会いたいというスアンの願いをしぶしぶ聞き入れ、早朝のKTXに2人で乗り込みます。

ソグを演じるコン・ユは、日本なら真田広之が演じそうな、クールで格好良い男です。初めはファンドマネージャーという仕事柄か私情を挟まない冷たい男でしたが、サバイバルの中で父性を取り戻し、娘を守るために奮闘する熱い父親に変化していきます。仕事を頑張るのも本来は娘の成長のためだったろうに、その目的を忘れてしまった男が血の通った人間に戻る過程が激しく泣ける!もう後半から目がウルウルしまくってました。あの微笑みを観たら号泣です😭

ソグと対照的なジャイアンキャラのサンファ(マ・ドンソク)がとにかく好きでした!本作のMVP。がさつそうで口も悪いが、どこまでも身重な奥さん想いで行動力がある頼りになるおっさんです。プロレスラー体型(ドンソクは、昔、ボディビルダーと格闘技選手の個人トレーラーをしていた:Ayaさん情報)を活かした豪快アクションと、トイレを覗いた時のはにかんだ笑顔が魅力的でした!何事も一直線な男らしさがありましたね。スマホの着信音を変えられないとか可愛いです。

おじさんで忘れていけないのは、悪役だけどヨンソク(キム・ウィソン)という存在。バス会社の常務で究極の利己主義男。自分さえ生き残ればそれで良い、倫理も理屈も他人も関係ない。助かるために他人を利用し、他人を貶める。誰が観ても「お前は死ね!」と思うキャラ。でも初めから悪人なわけでなく、サバイバルな状況で「生きる」という本能に忠実に行動している普通の人間だと思います。

危機的状況では誰でも英雄的な行動を取るとは限りません。我先に逃げようとするかもしれない。人を踏みつけてでも、押し倒してでも逃げようとする。それも本能。それが集団意識になる恐怖。『ミスト』で描かれた密室空間の集団恐怖がここにありました。心理的パンデミックです。どこまでも悪なのが韓国映画らしいけど、ヨンソクは憐れを誘うキャラでした(好きではないが)。人間の弱さに溢れていたからです。

高校生野球チームは哀しかった。

でもでも最強はスアンの涙。子供の涙にはやっぱり勝てませんね!

話が読めても泣いてしまう。ゾンビ映画で泣いたのは『バタリアン』以来(ゾンビ映画、そんな観てないけど)。あちらは笑って泣けたけど、こちらはハラハラして泣けて号泣でした。

気がついたら長文まっしぐらのレビューになりましたが(毎回の声が…)、完成度高いサバイバルホラーでしたね。これは面白い!!
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