カツマ

スプリットのカツマのレビュー・感想・評価

スプリット(2017年製作の映画)
3.8
『ヴィジット』を見た時に感じた『あれ?もしかしてシャマラン復活してる?』というモヤっとした感想からクエスチョンを取り去って、『シャマラン完全復活!』の横断幕を掲げたくなる、記念すべきシャマランバリュー完全復活作品!
一本の映画を越えた多重伏線が網の目のように絡まり合っており、最後の一撃でその伏線がドバッと増えて錯乱状態に陥ってしまう。ある意味反則技を食らわされた気分だが、これぞシャマラン。こちらの予想を上回ってこそのシャマランなのだと思う。

今作のマカヴォイは無双。多重人格者のいくつもの顔を見事に演じ分けている姿に、彼の演技力の高さを再発見した。そしてなんと言っても今注目の女優アーニャ・テイラー・ジョイの存在が大きい。彼女はすでに鑑賞者を引き込むオーラを持っており、今後の躍進が非常に楽しみだ。

〜あらすじ〜
クラス会の帰り、学校でも友達のいないケイシーを迎えに来る保護者はいなかった。結局クラスメートの車で帰ることになるも、彼女が家に帰ることはなかった。車は何者かに乗っ取られ、ケイシーは同乗していたクラスメート二人と共に誘拐されてしまう。
ケイシーたちを誘拐したのは多重人格を持つケヴィンという男だった。密室の中に閉じ込められた女子3人は何とか脱出を試みるも、離れ離れになってしまい、別々に隔離されることとなる。ケイシーは次第にケヴィンの中にいくつかの人格が宿っていることに気づいていき、少しずつコミュニケーションを取ろうとするのだが・・。

この映画内では解離性同一障害を障害としてではなく、人間よりも優れた、超越した存在として描かれている節がある。人は己とは違うものを劣っていると見なすことが多いが、実際のところは自身よりも優れている、というケースの方が多いのではないか。多重人格がスーパーな超能力なのだとしたら、このスプリットという映画に隠された面妖な顔はいつのまにかクリアに見えてくるはずだ。

〜ここからはネタバレあり〜





すでに考察され尽くしているところはありますが、この映画はシャマラン作品『アンブレイカブル』と時系列を同じくするクロスオーバー作品。今回すでにこのネタバレを知っているうえで見ました。しかし、恐らく知らなかったとしても電車のシーンで気づくことが出来たと思います。

すでに続編の公開も来年に控えていて、今作の中心人物二人、そして『アンブレイカブル』の中心人物二人がキャスティングされ、3部作の大団円を飾ることになりそう。この映画の終わり方を見ても、もうすでに来年が待ちきれませんね。サスペンスの殻を破ったシャマランの新たなステージを早くこの目で見てみたいものです!
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