ドラえもんは猫型ロボット

アイム・ノット・シリアルキラーのドラえもんは猫型ロボットのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「殺したくなるほど頭に来たら、相手をほめる。笑顔で愛想よく振る舞う」
いや、あんた、その言葉はまさに中二病ですやん。「今回は見逃してやる」みたいなやつですやん。

いやー、面白かったー。

フィルマークスでフォローさせていただいている、
クーベルタンはな@hanaku さんの感想を見て、興味を持って視聴。

満足でした。クーベルタンはな さん、ありがとうございました。

簡単な感想を。

クリストファー・ロイド演じる殺人鬼の正体が・・・だったという、すごくB級映画的な展開があることを抜きにして、作品自体が、結構丁寧に作られていて飽きなかった。

個人的には、今作の主題は「主人公の成長物語」だと感じた。

主人公のジョン・クリーヴァー君は、「ソシオパス(反社会的人間)」の診断を受けている変わり者。学校のレポートに連続殺人犯の考察を書いたり、いじめっ子に絡まれたら、彼の住所を告げて「君の中身を見たいなあ」と脅したり、家に持ち込まれる死体を見ては「商売繫盛」と笑ったり、と。

担当するセラピストからは、「殺人犯になる可能性がある」と警告されるなど、物語の中盤までは、「これはガチもののソシオパスが主人公なのか?」と思ったが、物語中盤で実際の殺人現場に遭遇してからの彼の態度を見ていると、そうではない気がしてきた。

殺人現場を見てショックで失禁したり(最初は嬉ションかと思ったが、最後まで観ると違うと思った)、疎遠になっている父親のクリスマスプレゼントにいじけたり、気になっている女の子がいたり、人を殴りつけて動揺したり、母親との仲を気にしたりと・・・提示される数々の材料を見るに、「あれ? この子、単に中二病をこじらせてるだけじゃね?」と思わずにはいられなかった。

そう視点を変えて物語を眺めると、中二病の男の子が、殺人鬼を観察する過程で、普通の人間へと成長していく物語として捉えることができる。それが妙にしっくりときた。

それらを含めて、改めてジョン君を見てみると、イケメンだし、楽器が扱えるし、殺人鬼の正体を突き止めるくらいに頭も切れるし、常に笑顔で性格もいいし、隣の家の美少女に好かれているし・・・なんだ勝ち組か。
舞台となったイギリスの町・クレイトンの雰囲気も作品に合っていてよかったし、老人が最後に見せた愛の形も悪くなかった。
いやー隠れた良作だね。

と、
自分は高得点をつけたが、観た人の多くは「はあ? なにこれ?」となるだろうし、その気持ちもわかる。

まず、ソシオパス(狂気)とシリアルキラー(狂気)を題材にして扱っている割には、内容がものすごく地味。

人がばっさばっさと殺されるわけでもなければ、主人公がシリアルキラーに襲われるわけでもない。ハラハラもしないし、ドキドキもしない。変わり者の主人公のストーカー行為を見せられるという何とも形容しがたい映画になっている。

そして、何より多くの人が戸惑うだろう謎の老人の正体。
これは、B級映画が許容できる人でないと、怒ると思う。

※序盤から、主人公が目撃した老人が用いた殺害手段だったり、犯行現場で聞かれたという獣の声だったりなど、いくつか正体を暗示させるものはあるのだが・・・

どう扱っていいか難しい作品。
軒並、レビューサイトの点数が低いのは、そのためだと思う。

でも、こういう、「好きな人は好き」な作品も映画の良さだと思う。

補足:
映画の煽り文句である「ソシオパスVSシリアルキラー」は、どっちも当てはまらないのでは? と最初は思ったが、
作中で「狼男も吸血鬼も殺人鬼だ」といっていたジョン君の言葉を借りれば、謎の老人・クローリーはシリアルキラーか。納得😤