B5版

ドリームのB5版のレビュー・感想・評価

ドリーム(2016年製作の映画)
3.3
ひと昔前、東大助教授が「世界中のすべての国が戦争をやめて団結し、浮いたお金を使えば2018年に最初の宇宙エレベータができる」といったそうで。
そして2022年現在、宇宙エレベーターはまだ存在しない。

人を分断するためのコストなんてものは無駄でしか無いというのは皆わかりきっている。
でも人間は差別や偏見という化け物を根幹に飼っていてそれは世界トップクラスに頭の良い人でも例外なくそうなのだというケースを元にしたお話。
黒人差別の描写に関しては直接の暴力は描写してないので、ともすれば生温いとも言われそうだが理性を持って生きる人々の無意識下の差別の方が、一般人にとっては身近で深刻よね。

有人宇宙飛行を達成するために奮闘、差別が可視化されやがて瓦解していき、味方や力を手に入れてみんなで偉業を果たすラストはまさに理想的な「アメリカ」を体現していて、素直に美しかった。
主人公達には常に戦うためのカードを蓄えておくクレバーがあり、そこが好感を抱きスカッとするところだが、そんな彼女達の姿勢は"黒人女性"という当時の生存戦略上必須の属性の裏返しである事実に苦しくもなった。

あと、女達3人の仕事以外に巻き起こる人生の描き方がジェンダーレス、特に結婚式の描写は良い。

プロがお仕事を全うするお仕事映画大好き!
B5版

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