真の主役はお父さん
同性愛がテーマの映画だと、時代による抑圧や社会の無理解が1つの重要な要素になりそうなものだが、『君の名前で僕を呼んで』はそうしたテーマはあくまで脇役に徹している。
本作の主役は青を基調とした美しい画の作り。そして、無理のない展開でみせる男性2人の儚いひと夏の恋である。
視線や僅かな仕草でみせる心の機微が繊細に演出されており、とても誠実な恋愛映画だと思う。
ティモシー・シャラメとアーミー・ハマーの2人の素晴らしさについては、観た人すべてが感じていることであるので、あえて触れることはしない。
しかし、私はこの2人を霞ませる真の主役をラスト手前でみた。
そう、お父さんを演じたマイケル・スタールバーグその人である。
彼が息子に語る場面は、今年観たどの映画よりも素晴らしく、このシーンだけならぶっちぎりで2018年のベストだと断言する。