sugar708

羊の木のsugar708のネタバレレビュー・内容・結末

羊の木(2018年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

本作で個人的に面白いなと思ったのは、映画で描かれている視点が元受刑者に向いてると感じた点です。

「人もいいし、魚もうまい」

と月末が言うように、魚深の方たちは基本的に優しい方が圧倒的で「羊がなる木」の話を信じるような素直な方が多いのだと思います。

月末をはじめ、後輩の田代、理髪店の雨森、クリーニング店の内藤など、彼らの素性を聞いてもなお、それを受け入れてくれる方が多かった。

むしろ、受刑者たちの方が自身の罪を悔やみ、住民たちと壁を作っている印象がありました。

そういう点で、元受刑者を地域住民がどう受け止めるかというベクトルではなく、元受刑者が地域にどう馴染んでいくか、「彼らがまた人を信じられるか」が描かれている再生の物語という印象を受けました。

個人的には、のろろ様は「異質」なものという点で犯罪者と近い存在なのかなと思います。

のろろ様も海という外の世界から来た異質な生物、それを見てはいけないというのは「臭いものには蓋をする」という日本人の嫌な部分の象徴であり「元犯罪者を避け、無視する」考え方に近いのかなと。

過疎地域に元受刑者を送り住民とするという設定はどこかリアリティがあり、もしそれが実際に起こったら、そのとき我々住民たちはどのように受け入れるべきなのか、元受刑者たちはどう生活していくのか、非常に考えさせられるテーマだと思います。
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