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At the terrace テラスにてのwigglingのレビュー・感想・評価

At the terrace テラスにて(2016年製作の映画)
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「富裕層と、闘い」というテーマのもとに、本作と『チリの闘い』を一緒に上映してしまうYCAMシネマの凄さよ。

「100%富裕層向け映画」ってことで、金持ち連中のホームパーティー後の出来事を描いたコメディ作品です。屋敷のテラスを舞台にした90分間で、監督が言うところの「今の日本社会のほとんど全てが起きる」が言い得て妙です。
ある人妻の白い腕をめぐり、議論が白熱し本性が剥き出しになっていく様が実にグロテスク。

舞台劇の映画化だそうで。舞台版は観てないので違ってるかもだけど、映画におけるプラスアルファは美術以外ほぼ無いんじゃないかな。
優れたオリジナルであれば、複製芸術である映画にそのまま落とし込んでも成立するということを言いたいのかなと。

そして、めちゃくちゃ面白かった。ひとりで笑いころげてたから、場内が明るくなってからの気まずさが...笑。

内山ケンジ監督の前作『友だちのパパが好き』でファンになった石橋けいがまたしても最高です。ただの金持ちのくせに自分が価値のある人間と勘違いしてるクソ女を、ステレオタイプを超えた演技で見せてくれる。気が触れたかのようなダンスを見せる平岩紙の変貌ぶりも素晴らしかった。
演劇的な過剰さのある演技なんだけど、むしろ演劇に近い感覚で鑑賞できるから全然気にならなかったですね。

なかなか演劇を観れない田舎者には、こうして映画化してもらえるのはありがたいことです。演劇人の皆さんはこれに倣ってもらえると嬉しい。

それにつけてもあのエンドロールは反則だよなぁ。
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