LATESHOW

台北ストーリーのLATESHOWのレビュー・感想・評価

台北ストーリー(1985年製作の映画)
4.0
エドワード・ヤン監督が撮る
逆光でシルエットの人物が佇む窓。
窓から見える空は曇り、霞み
不吉な風がカーテンを揺らし
まるで透明な皮膜のように
登場人物達と世界を
クッキリと分ける。

ノスタルジーを交えながら
台湾の今を撮ることに
人生を費やした人だったのだろう。
ここから脱出して
華やかな日本とアメリカへ
向かおうとしていた台湾。
古い価値観を捨てきれない人、
迷いながらも新情勢を受け入れる人。
軋轢、葛藤、変化、焦燥、諦観。
揺れ動く台湾が
映画の形を保って遺されている。

イルミネーションに輝く総統府前を
バイクが集団で疾走するシーン。
映画として完璧である。
タバコの煙が夜の闇に溶けるだけで
どうしてあんなに心動かされるんだろう。

ラジオとテレビは追憶の象徴かな。
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