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ライフのmatsuitterのレビュー・感想・評価

ライフ(2017年製作の映画)
3.1
作品の方向性としては密室SFスリラーというまさにエイリアンモノ原点回帰。ほぼ宇宙しかないためゼログラビティの映像演出を思い出したわけですけど、本作はゼログラビティでエイリアンをやろうとしたのかと。

以下ネタバレ。

まず良かった点。

最終パートへの編集が私は非常に好き。少し予想できた部分もあったけど、中身が見えない脱出ポッドを使ったミスリードっていう持っていき方がうまかった。ああ、この映画そう来たかと思いあのBGMと共にニンマリしました。

冒頭すぐの回収作戦のカメラワークが、ノーカットワンカメラ長回しでとても良い。作戦中の船内を切れ目なく写す緊張感。
船内ノーカットにしたことで逆に船外のレイノルズの見せ場がまったくなくなっているけど、インスタグラムに上げてくれっていうセリフが面白いのでまあしょうがないかなと。
この長回しカメラの段階ですでにSF好きな人は「あっゼログラビティ!」ってなりますよね。最後の脱出ポッドシーンもまんまゼログラビティ意識してるし。

攻撃を受けて血がウヨウヨ浮くのが本作の特徴的な映像だった。

演技的に真田広之が期待以上にハマっていて満足した。
ギレンホールは全体的に普通でなんかあんまり特徴でてないなと思ったけど最後のシーンの「ノー!」で完璧にギレンホールだったので結果いい仕事をしました。

ネガティブな点。

脚本が弱くて新しさがない。この単純さでよく企画が通ったなと。。

前半は面白い。作戦→生命の発見→暴走の流れは、新しい生命を発見できたんだ感が充分伝わってきたし、組織や人間同士の葛藤を排除してすぐに生物との戦いに集中した点はスピーディーで良かった。

ただレイノルズがいきなり死んからの中盤以降は、襲われて考える襲われて考えるっていうテンポがゆっくり過ぎ。相手は圧倒的強さなのに全然積極的に攻めてこないせいで、なんか切迫感が元ネタのエイリアンとか遊星からの物体Xに比べて明らかに弱いんだよね。。

脚本設定的にエイリアンの特徴がなさすぎるしストーリーにいきてこない。空気を貯めて宇宙を移動できる、冷却水を飲むとか、単純すぎる特徴しかもっていない。生物の特徴を軸に人間が隔離作戦を考えるかと思いきや全くノロノロしてて全然ワークしないし。つまりはこの映画の肝となる頭脳戦が正直あまり面白さを感じられなかったわけです。

冷却水と酸素で陽動する展開でもうひとひねりあれば。。

エイリアンのクリーチャーの造形も新しさがなかった。

結構不満を書いたけどこのジャンルが大好きなので満足でした。
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