あすとろ

THE BATMAN-ザ・バットマンーのあすとろのレビュー・感想・評価

4.0
目を背ければ背けるほど、苦しみ、身を蝕むモノってなーんだ?

※ストーリーはFilmarksに記載されているため省略させていただきます。
Twitterでも感想を投稿しています→https://twitter.com/a_stro_07/status/1499374448847167490?s=21

試写会で鑑賞してまいりました。
ある種、過去一カッコよくて人間味のあるリアルな「バットマン」の姿であり誕生譚、成長譚になっていました!

世代だったので『ダークナイト3部作』やベン・アフレック版バットマンの印象が強く、ジャスティスリーグなどのキャラ達と比べて一番人間寄りなのにとても神格化されていて、正直感情移入はし辛いキャラクターでした。
ですが今回のバットマンは過去のバットマン達とは明らかに違うキャラ造形で、物凄く人間らしくて感情移入もしやすく、いい意味で親しみやすいバットマンになっていました。
その上、今回メインヴィランであるリドラーがとにかく最高で「バットマンといえばジョーカー」という印象を持ってる人ほど是非観てもらいたい…!
ある種『JOKER』よりも劇薬な作品に仕上がってます。

また話自体も宣伝文句でもあるように「マスク」などの二面性を意識、強調された作りになっていて、善人そうなマスクの下には悪人が、悪人そうなマスクの下には善人が、また「このキャラの行動原理の裏には…?」というような「表と裏」を描くと同時にリドラーが仕掛ける謎解きが見事に相まって約3時間の長さを感じさせないほど見応えのある物になっています。
なので『バットマンシリーズ』やDC作品の知識に疎くても十分楽しめる仕上がりになってます。

また本作、我々観客も試されている作品にも感じました。
本編中何度もライトの光が正面に映される描写がありますが、それは「観客の仮面の奥底にある“倫理観”」を光で照らし出してるのかな〜と感じたりしました。
ブルースとリドラーの2人によって観客の倫理観は頻繁に揺さぶられます。
また両者とも自分の身を滅ぼしかねない方法で世界を良くしようとしているのです。
そんな2人に揺さぶられる我々を見透かすかのようにライトで照らし「お前の本性はどっちだ?」と問われてるようにも感じてゾクゾクっときました…!

本作はストーリー、キャラ、展開、映像全てが暗いです。
恐らく、配信が主流になってる今だからこそ映画館で観ることに意味を持たせるためにあえてやってるのだと思いますが、本当に映画館で観た方がいいです!
名優たちの細かな演技、肉弾戦やバットモービルでのアクション、マイケル・ジアッチーノの低音ブリブリの劇盤は劇場でなければ味わえません。
「ゴッサムシティへの没入体験」という名目でも1,900円以上の価値あり!
是非、ご体感あれ!
あすとろ

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