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ミュージアム 序章のMoviePANDAのレビュー・感想・評価

ミュージアム 序章(2016年製作の映画)
3.3
『愛の相殺』

期待した最悪は“こちら”にあった...
先日『ミュージアム』を観たのは、実はむしろこっちの『-序章-』が観たかったから。それが何故かはハッシュタグの通りなのですが、前述の通りよほどこちらの方が“いい意味で最悪”な作品でした。

こちらでの主人公は本編での幼女樹脂詰め事件を追うジャーナリストの九堂。真相を追う中、カエル男の魔の手が自身の娘に迫り...というお話です。娘がいる身としては、いやがおうにも彼に感情移入。ワンカメこそ監督の真骨頂と思って観ると、一気に増量な📹の台数は好き嫌い分かれるかもですが...

『コワすぎ!最終章』を彷彿とさせるカエル男の指示はなかなかに酷なもの。中でもあの“撲”は厳しい。そればかりは、観ていてツラかった😢 ただ、その気持ちとは裏腹にそれが自分の娘を助ける唯一の手段なのだとすれば、それはやはり「やるしかないのだろうな」と考えてしまう自分もいて...

「バケモノにはバケモノをぶつけるんだよ!」とは、同じ白石監督作『貞子vs伽椰子』での経蔵の名言ですが、では「愛」には何をぶつければいいのか?

以前何かのレビューにも記した事がありますが、映画での子の為に犠牲になる親という表現を「何だかんだで最後は自分が何より大事なはず」と、それを若い頃は冷めた目で見ていました。しかし、いざ自分に子供が出来てみると、もし自分の命を差し出して我が子の命が助かるのなら何の迷いもなく命を差し出すな、と当然の事として思う様になりました。そして、その想いは我が子を守る為ならどんな事だってとも..

愛する者を守る時、時として愛は暴力に変わる。ただのおまけ企画として観る向きが当然の本作かと思いますが、普段白石監督がリツイートする内容を知る者としては、そこに様々な想いが込められている様にも思えてしまうのですが...
愛するが故、その愛の為なら...
では、これが個人ではなく国なら...
それが愛の為なら、だれかの血が流れても...?それでも...?
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