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カレーライスを一から作るのwigglingのレビュー・感想・評価

カレーライスを一から作る(2016年製作の映画)
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グレートジャーニー関野さんの、武蔵野美大でのゼミ活動を追ったドキュメンタリー。今度はカレーライスを一から作るのがテーマ。
食材はもちろん食器も自分で作る。米は田んぼ作りから、野菜やスパイスは種から、肉は雛鳥から、食器は土や竹から作る。

『縄文号とパクール号の航海』を観ている者としては、これくらいのことはまぁやるだろうなと。あれは命懸けの冒険だったけど、今回は学生の活動なのでソフトめな内容。

とはいえ、一皿のカレーライスから見えてくるものはすごくたくさんあって、農薬や有機肥料の誘惑や、育てた家畜を屠ることについての葛藤など、普通に生活しているだけだと出くわすことのない課題にぶつかる。

関野さんは学生達のサバイブする力を育みたいと言う。それは知識として知っているだけではなく、経験的な知識でなければダメなのだと。
誰だって米や野菜や肉がどうやってできるかは知ってるけど、それらを育てる方法は知る者は少ない。それを学ぶ様子が面白可笑しく、時にはシリアスに描かれます。

ひとり絶望的に感覚の鈍い参加者がいて、彼は学生ではなく社会人ゼミ生なんですね。途中から目を離せなくなってしまいました。
食べるために育てた家畜を屠るのは如何なものかなどと言い出す。家畜に愛着を持つ飼育係ですら腹は決まっているのに余計な混乱を招いてしまう。

上映後のトークショーでも彼の話題になり、擁護しつつも映画に映っていないさらに酷いエピソードが暴露されたり。
色々考えすぎて混乱してしまうタイプの超真面目な人みたいですね。心を病んでしまうタイプだよなーと。

『縄文号...』の感想にも書いたけど、すごく贅沢な道楽だなぁというか。しかもそれを大学の金で、映画にまでして、関野さんのプロデュース力の高さには舌を巻いてしまいます。

出来上がったカレーライスは傍目にはとても美味しそうには見えなかったんだけど、それを一から作った学生達には最高の味だったでしょうね。

音楽はU-zhaanなので、ファンは要チェックです。彼の起用はインド繋がり?と気付いてちょっと笑ってしまった。
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