のん

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?ののんのレビュー・感想・評価

4.0

人生とは「もしもあの時」の連続である。

1つ1つの選択肢に意味があり、可能性が無限に広がっている。




岩井俊二監督が1993年に発表した「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は、テレビドラマの完成度をはるかに超えた鮮烈な青春映画だった。(のちに劇場公開されている。)



特に印象的なのが奥菜恵演じるヒロインなずなの圧倒的な透明感と存在感である。



「君の名は。」を大ヒットに導いた川村元気プロデューサーは、このヒロインを実写で超えることは無理だと判断したのだろう。アニメーションという新たな領域で名作をアレンジするという新たな試みにチャレンジしている。



実際その判断は正しいといえる。大根仁の脚本は原作に現代的な風を吹き込みながら、大胆な改変を後半に加えている。


後半のめくるめくファンタジーのような世界はシャフト演出の真骨頂ともいえ、新房昭之総監督のカラーが色濃く反映されている。


リメイクにおける最大の難関ともいえるヒロインなずなについても広瀬すずの声がぴったりとはまっている。広瀬の声はずっと聞いていたいと思わせる不思議な魅力があり、奥菜恵のなずなとはまた違った一面を感じさせてくれた。




クライマックスのシーンもアニメーションならではの大胆な表現。無限に広がる「もしもあの時」の世界を視覚的に捉えた秀逸な場面だった。
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