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犬ヶ島のろのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
5.0

もう本当に、うれしくてうれしくてたまらないです。

今回は日本が舞台ということで、気合を入れて、北斎Tシャツを着て行ったの。
そうしたら、本編に何度も北斎の絵が出てくるし、黒澤監督・小津監督はじめ邦画のシーン・構図・キャラクターが次々に登場!
日本文化の宝箱のようで、1シーン観るごとにとても嬉しくなりました。

”リスペクト(尊重)”というセリフのとおり、私はこの映画にいつまでも拍手を送りたいです。


ドッグ病が流行る20年後の日本。
ネコ好きの市長はすべての犬を”犬ヶ島”に追放してしまう。
市長の養子・アタリ少年はたった一人、愛犬を救うため”犬ヶ島”へ…。

エサを巡る犬同士のバトル。にじり寄る両者はまるで「用心棒」。
ドッグ病治療薬を開発する教授と、何やら企む市長は観れば観るほどに「天国と地獄」。
そして、アタリ少年を助けるべく立ち上がる5匹の犬は「七人の侍」のように、誇りを持つ。

特にね、野良犬チーフとアタリ少年のやり取りがステキだったよ。
チーフは一匹狼。だけど情に厚いという椿三十郎タイプ。
「俺には主人なんて必要ない!」と言う割に、アタリ少年のこと、大丈夫かなって見守っているの。
チーフはいろいろと悪態をついたりするのだけど、アタリ少年は英語が分からない。「おーい、黒犬。どこ行ったのー?」ってマイペースだったりするのね。
北斎ビールの樽をお風呂代わりに、体を洗ってあげてね。フワフワの犬になる。あれ、本当に良かったなァ。
次第に「里見八犬伝」や「忠臣蔵」みたいになってきて、ちょっと泣いちゃった。

でもね、そういうジャパニーズエンターテインメントだけじゃないんだ、この映画。
痛烈なプロパガンダ批判、もうスゴイ。
政治家があの手この手で国民を扇動する、その怖いこと。(キャプラさんの「群衆」みたいだね)
どんどんワンちゃんたちとアタリ少年が追い詰められて、どうなっちゃうのー!?ってハラハラする。

けれど、着地点が日本映画なの。
悪者は単に悪者で終わらない。
良いものも悪いものも互いに生かし、生かされているんだね。
この複雑さ・奥ゆかしさというのか、とても日本らしいと感じました。


本当におもしろかったから、公開されたらまた観ちゃうかもしれない。
それまでに「酔いどれ天使」と「野良犬」を観てみようと思います。










※コメント欄 自主閉鎖中m(__)m
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