駅前、ショッピングセンター、繁華街など、街はキレイでオシャレで華やかな顔をしています。しかし、ちょっと裏道に入れば表の顔とは違う顔を持っているもの。それもまた、嘘偽りない街の姿です。
テレビが最近面白くないのは、表の顔しか映さなくなったからではないでしょうか。表の顔は裏のことなんか知らないよ、みたいな顔をしていますが裏にもちゃんと人は生きてるわけで、そこがなんだか、まやかしのように思えて心が離れてしまうんですよねえ。
テレビが虚構のお行儀いい街の表の顔の世界を伝えるならば、その枠からはみ出した表現は映画!というわけで、この作品は華やかな世界とはちょっと外れた裏の世界をのぞき見する大人の楽しさにあふれています。
探偵に持ち込まれたのは失踪した女子大生を探して欲しいというもの。この女子大生がヤバイ女のバイトをしていたことがわかり、そこにヤのつく危ない人達がからんできて、色と金と欲とウソがからみあう展開。そう、世の中ってこういう世界もあるんだよ!とドキドキワクワクします。
最後に探偵は命がかかったある依頼を引き受けます。泣く場面じゃないんですけど、ここで自分は号泣しました。
探偵は探偵にしかすぎないはずなんです。警察のようにそれが仕事でもなければ、スーパーヒーローのように逃れられない運命を背負ってるわけでもない。つまり、逃げてもよかったんです。でも彼は昔、ある人に言ったことをウソにしたくなくて、全てをかける。ここがカッコいい!!
他人にとってはどーでもいいことでも、自分にとっては大切なことを大切に生きること。約束を守り、ウソをつかない。それって男とはこうあるべきというダンディズムですよ!痺れました!
作風をすこし極端にあてはめると70年代風の「探偵物語」に近い本作。こういう世界観やキャラクターはある程度の年齢層にはウハウハでしょうが、若い人にはどう映るんでしょうか。このダンディズムをわかって欲しーなーというのがおっさんの願い。
でも若い人にわかってもらえなくても、自分が大切なものを信じて生きていくよ。それがダンディズムだよ!