彦次郎

ハリソン・フォード 逃亡者の彦次郎のレビュー・感想・評価

4.4
妻殺害の容疑で死刑判決をうけた逃亡者キンブル医師がジェラード連邦保安官補の執拗な追跡をかわしながら犯人である片腕義手の男を捜す傑作サスペンス。今となってはありふれていますが「無実の主人公が警察などの追っ手から逃げつつ真犯人を捜し出す」形式の原点。
元は1960年代のテレビドラマ。こちらはキンブル医師が行く先々で人助けをしながらもジェラード警部の厳しい追跡によりやむなく間一髪土地を立ち去るというサスペンスながらも人情ドラマでした。
さて映画としてリメイクされた今作ですが無駄な前置き無しにいきなり裁判沙汰になっていたり非常にテンポが良いです。ドラマ版よりもキンブル医師とジェラード連邦保安官補チームとの知恵比べが重視され真犯人をギリギリの線で追い詰めていく過程が楽しめます。
負傷した自分を病院に潜入して治療したり爆流たぎるダムに身を投げたりとスーパードクターKのようなテクと不死身さのキンブル医師。しかし逃げ方が素人なためギリギリでピンチを回避しているのが手に汗を握ります。僅かな手がかりで何の同情心もなく追ってくるジェラードの執拗さも恐ろしいものがあり並みの人間なら直ぐに御用か自殺といったルートを辿ることは必至でしょう。
1番のポイントはキンブル医師の優しさ。追われつつも常に人を助けることでピンチになりますがその反面味方もいることから日頃の生活を振り返る啓蒙さです。列車大事故寸前にも警官を救助したり危険を冒して見知らぬ少年の診断をして適切な対応をしたりとどんなに追い詰められても医療者として生きる姿に感動させられました。
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