せーじ

DESTINY 鎌倉ものがたりのせーじのレビュー・感想・評価

DESTINY 鎌倉ものがたり(2017年製作の映画)
2.6
イオンシネマ市川妙典で鑑賞。
ハコは広かったものの平日ということもあり、2~3割程度の埋まり具合。とはいえ、幅広い年齢層ではあったように思う。

他の作品を観た時に流れていた予告を観た時から「これは…酷いな色々」と思っていた本作。観たらやっぱりその通りで、それ以上のものは何も無かった。

山崎監督作品では今に始まった事ではないので大体想像はしていたけれど、鎌倉の街そのものの描写がテーマパーク的で、しかもそれがかなり雑。江ノ電や大仏、海の描写などがあっても記号的にしか扱われない。住んでいる人が観たら怒り出すんじゃないだろうか。
時代設定もかなりいい加減で、黒電話があるし、編集者が原稿をとりに来てるし、車もレトロなのでじゃあ昭和40年代くらいが舞台なのかな…と思いきや、「コスプレ」だとか「100円ショップ」というセリフが平気で出てくる。1万円札は福沢諭吉だったし、「昭和55年まで走ってたタンコロだ」って、じゃあ今はいつなのよ…と思ってしまった。
挙げ句"あれ"を「ディズニーランド」というのは…普通に遊園地でいいのにねぇ。

登場人物の描写とストーリーの流れも、例によってと言うべきか、残念ながら甘いと言わざるを得ない。
ヒロインの家の話が一切出てこないのはともかくとして、最初からいきなり主人公夫婦のラブラブモード全開な状態を見せつけられても、感情移入はしづらい。カエル氏のエピソードや貧乏神のエピソード、謎解きのエピソードはあそこまで時間をかけずに、最低でも二人が結婚するまでのプロセスはきちんと描くべきだったと思う。もしくは最初から無理に夫婦にせずに、ヒロインは主人公の家に普通に原稿を取りに行く新米編集アルバイトから、どんどん仲良くなっていき…という話の流れで進めた方が面白くなるのではないだろうか。それくらい、主人公とヒロインが夫婦として釣り合っていないように見えてしまう。
釣り合っていないように見えてしまうので、主人公とヒロインが引き離されるプロセスもどこかおかしいと思ったまま、感情移入ができなかった。敵もあんなまどろっこしいことをせずに、いきなりさらうとかすればいいのに。それもこれも「理不尽な別れ」のシーンを、例によってドガジャーンとベッタベタにやりたいだけだったんじゃないのかと勘繰ってしまう。
そのくせ、あの不幸にも巻き込まれてしまった一家やカエル氏たちのフォローは成されないまま放置…という雑な展開には呆れるしかない。

救いなのは、役者さんの演技そのものはそこまで悪くなく、そこではあまりストレスを感じずに済んだところだろうか。VFXは、あんなもんでしょう。それ以外の全体的な作りが軒並み雑で酷いのが残念でした。
あ、ただ、エンディングテーマの宇多田ヒカルさんの曲は良かったです。
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