まるちよ

バトル・オブ・ザ・セクシーズのまるちよのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

1970年アメリカで起こった「ウーマンリブ運動」にまつわる実話を基にした物語。
女性蔑視、男性優遇社会に嫌気が刺した女性テニスプレイヤーが奮起する話で、最終的に男とテニスで勝負する。
これだけ聞くと、今の時代に合った素晴らしいテーマの映像化なんだけど、どうも作り方に納得いかない点がある。

映画の作り上、女性側が主人公なのでとにかく男は馬鹿で自分勝手な生き物という構図になっている。
女性は虐げられててかわいそう、男性は傲慢で汚くてムカつく。
確かにそういう時代だったのかもしれないけど、ポリコレ全盛期の今のご時世にこんなもん映像化したら余計にフェミニストの武器にされるんじゃないかと。

主人公はラ・ラ・ランドで主演を努めたエマ・ストーン。
頑張り屋さんで、女子テニスリーグで優勝した際に、男性と女性の優勝賞金が8倍も違う事から女子テニスリーグを自前で立ち上げる事になる。
もう1人の主人公である男性側代表はスティーブ・カレル。
55歳のおっさんで、過去にウインブルドン優勝など輝かしい戦績を持つ。
現在は嫁の父が経営する会社で名ばかり役職をもらい、家の中でも居場所が無く、不自由は無いが肩身の狭い思いをしている。
ギャンブルに目が無く、お調子者。

「女は台所に立って子育てしていればいい。それ以外の場所で主張をするな。金は男が稼いでくるんだから。」
という言葉に対して
「特別視しろとは言っていない、ただ敬意を払って欲しい。女が金を稼いでくる家庭だってある。うちがそうであるように。」
という劇中のセリフがこの作品のテーマになっている。
サブのテーマとして、レズもゲイもいつか自分を自由に表現できる時代が来れば良いな、という言葉も散りばめられている。

チョコレート・ドーナツ主役のアラン・カミングがコーディネーター役で出演しているんだけど、ラストで主人公と抱き合って自分の気持ちをカミングアウトし、それでもなお今はそういう時代じゃないんだ、と教えるシーンがグッときた。この人が言うと説得力がある。

実話で、1970年の話だから当時の映像も残ってるし、まだ全員登場人物は存命。
実際の映像がエンドロール前に流れるんだけど、再現度の高さに驚いた。
当時のフィルム技術を使って撮影されていたり、映画としての完成度が非常に高いのが素晴らしい。

今の御時世だからこそ、女性にとっては良いテーマ。男性にとってはなんだかなーってテーマと感じた。

◆良いところ
- エマ・ストーンかっこいい
- アラン・カミングの安定感
- スティーブ・カレルの再現度がすごすぎる
- チョコレート・ドーナツに続けて見ると時代的にも繋がるし良さそう

◆悪いところ
- 時代背景的にしょうがないんだろうけど、極端に映る
まるちよ

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