うめまつ

バトル・オブ・ザ・セクシーズのうめまつのレビュー・感想・評価

3.8
アランカミング格好良かったなぁ。出演シーンは数分だったのに滲み出るあたたかさに包み込まれて夢心地。ラストの台詞は彼が言うから何十倍も響いたように思う。それにしてもビリージーン愛され過ぎだろう。魅力的な人物であることはわかるし、彼女が背負っている重責は測り知れないし、自由に人を愛せるのは素敵なことだけど、だからって不倫しながら夫を生殺しにして良い理由にはならないのでは?愛人が同性だから複雑になってるけど、パートナーへの接し方はギャンブル狂のブタ(失礼)の方が誠実に見えた。その辺の事情は当人同士が納得してれば全然いいんだけど、あまりに旦那さんが物分かりの良い優しい人だったから苦しくなってしまった。愛人が切った髪型で目配せされるなんて地獄だ。世の中の何十万の人の未来を救うのと、目の前の人の今を守ることは同じくらい大事だと私は思う。

男性至上主義の象徴としての、ボビーの極端にふざけた振る舞いは全部、女性に打ち負かされて世紀のピエロになる為の入念な準備に見えて、笑えるどころか切なくなってしまった。真相はわからないけどビリーとボビーは試合前から信頼関係で結ばれていたように思う。そうだったらいいのにという願いも込めて。勿論真剣勝負だったとは思うけど、あの勝利がもたらした男女平等への大きな時代の波は、現代の浜辺にもしっかり届いて私の足元を濡らしている。ビリーは勿論偉大だけど、図らずも?身を呈してくれたボビーにも同じくらい感謝したい。試合は争いである前に共同作業であり、人生というコートにはいつも勝者と敗者である前に、男や女である前に、丸裸の人と人とが向かい合って立っているんだと教わった気がした。私もいつか壁打ち専門を卒業したい。
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