ゼロ

メアリーの総てのゼロのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
4.0
あの ゴシック小説『フランケンシュタイン』の著者・メアリー・シェリーの波乱の人生を描いたもの。

18歳で『フランケンシュタイン』を描くメアリー氏ですが、この映画は『フランケンシュタイン』を描くまでの物語となっています。彼女が『フランケンシュタイン』を執筆するきっかけは何だったのか?どんな人生を送ってきたのか?を余すことなく描いています。

導入部としては、作家を夢見るメアリーは、折り合いの悪い継母と離れ、父の友人のもとで暮らし始める。ある夜、屋敷で読書会が開かれ、メアリーは“異端の天才詩人”と噂されるパーシー・シェリーと出会う。互いの才能に強く惹かれ合う二人だったが、パーシーには妻子がいたのだった。

メアリー氏が生きていた1800年代は女性蔑視が強く、男性の権力には逆らうことができなかった。メアリー氏は作家を夢見る女の子だったから、クズな男と不倫をして、子を宿し、死なすような人生を歩んでしまった。全体的に精神的な弱さ、夢か現か分からない雰囲気が場面から出ているので不安になります。

メアリーを演じるエル・ファニングさんが美しく、ダグラス・ブースのイケメンで女をたぶらかす雰囲気があり、演者のレベルは高く、人々を魅了します。バイロン卿をトム・スターリッジさんもクールな感じでカッコいいのですが、役柄がクズな男というのが傷です。

男を見る目がなかったメアリー氏が辿り着いたのは、自分の感情を吐露した『フランケンシュタイン』。なぜ生々しい感情が、あの作品にはあるのか?は、本作品を読むことで理解することができます。

若い女性が自分で書いた本を出すことが難しかった時代。今とは違う時代に、考え方を持つ若き女性の苦悩、孤独、人生を考えさせられた作品でした。
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