新潟の映画野郎らりほう

メアリーの総ての新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
3.0
【フランケンシュタイナー】


メアリーシェリー「フランケンシュタイン」が生み落とした派生用語に『フランケンシュタインコンプレックス』と『作家の悪夢』とがある。
前者は『自身が生み出した人造人間に 人類が滅ぼされる恐怖』であり、後者は『作家の夫よりも 素人同然の妻の作品の方が 後世に名を残した』― 何れも皮肉な妙趣孕む的確な評であるが、この派生二語『~コンプレックス』と『~悪夢』とに奇妙な相似性があるとずっと感じていた―。
つまり『怪物を生み出し物語の その作者もまた怪物的小説生みし者』― フランケンシュタイナー=フランケンシュタイナーであると。


屍骸をパッチワークし怪物を造る様に、メアリー(ファニング)は自身の哀しみや憤り、死をパッチワークし小説を書き上げる。
『怪物こそ自分の子、否 自分自身』とゆう 作家/作品の鏡像的関係性を見、どちらにも(怪物にも作品にも)しっかりと魂が込められていた事を感取する。




《DVD観賞》