腕の中から巨大芋虫が出てきたり、頭が180度曲がったおっさんに追いかけられたりする虫ホラーアニメ。

全然知りませんでしたが、超絶絵師と呼ばれる坂本サク監督による初長編アニメだそうです。監督が脚本、編集、音楽等全部ひとりでやった作品のようです。

たしかに、超絶絵師と呼ばれるだけあって美しいシーンがいくつかありました。中でも舞台となる集合住宅の全景のインパクトは凄かったです。不動産屋の広告で青空と緑に囲まれた綺麗な共同住宅として見せた後に、実際の建物を赤黒い空の下で暗くのしかかる異物として見せる。それはこの世のものとは思えないほどのインパクトで、中に入っていく主人公はまるでその巨大な化物に吸い込まれていくような錯覚をもしてしまう。

ただ、アニメーションのクオリティは低め。そこはひとりでやってるので仕方ないですがね。

そして物語もかなり難解。映画を鑑賞した後に「解釈したくなる難解さ」と「別にどうでも良いと思わせてしまう難解さ」があると思うんですけど、本作は私にとっては後者の方でした。その２つをわけるのは解釈にかかる部分以外の作品自体の魅力だと思ってて、例えば圧倒的な絵の綺麗さだったり、自然と引き込まれてしまう演出力だったり、世界観だったり、解釈が必要なところ以外のストーリーの面白さだったり。

本作には正直それほどの魅力を感じませんでした。観客を引き込むためのエンタメ要素と意味不明な部分のバランスが悪いんですよね。どこかで強烈な魅力を打ち出さないと、あえて解釈したいなんて思わない。キャラが要所要所でヒントになるようなセリフを唐突に吐いて去っていくという、製作者側からの情報の提示の仕方も雑すぎるし、重要そうな物語の断片をあえてわかりづらく繋げただけのような構成が悪夢的といえば聞こえは良いですが、私的にはそれほど惹かれず。

とはいえ物語はかなり練られてて、後半で明らかになる人物間の関係だったり、主人公の過去の秘密だったり。ここら辺が密接に関連してくるわけですが、そこから発展して、じゃあこの映画の世界で起こっていたのは何だったのかという本質的テーマへと観客を誘導する脚本は面白いと思います。かなりパーソナルなお話だったということですね。そんであのラストシーンも人が悪い。ただ、あえて描写を減らし難解にしている本作は芸術作品というには浅はかだったようにも思いますね。作家として湧き出てくるものを表現した結果としての難解さとは思えなかった。かと言ってエンタメとしても単純に面白くない。

というわけで私はあんまり好きな作品ではありませんでしたが、アニメにおけるホラー演出の可能性を感じさせる作品でもあったと思います。もっと深く考察すれば素晴らしい作品へと変貌するのかもなので再鑑賞したらスコア大幅に変えるかもしれません（笑）

• #ホラー映画と怖い映画
• #ホラー怖い系2018公開

クラウドで製作資金を集め八面六臂で製作した作品。

アニメでありながら、実写の手持ち撮影の様に画面をブレさせたりした表現方法は面白く感じた。

『ねむれ思い子…』と同じく、一人で創り上げた点は評価する。
が、やはり動きや色彩等に限界がみられる。

とても1人で作ったとは思えぬクオリティ。同じような画面でもカメラを揺らしたり、光の角度が変わることで退屈に見えない。ただ、流石に中盤がダレたか。あとは好みとして、キャラデザがモデリングしてある3DCGより手書き2Dの方が好きだった。混在してるとノイズになるかな。
物語としては、ある程度考えながら見れば説明はつく内容なのでもう少しブラッシュアップ、っていうか金額アップした内容でも見てみたい。

• #アニメ映画抹茶