Cozy

孤狼の血のCozyのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
3.6
ひとよを見て、改めて見たくなったので視聴。
改めてこの映画がとっつきやすいのは松坂桃李演じる二岡が主演である事と捉える。正確には役所広司演じる大上とのW主演だが、最初から通貫して登場する二岡を主演としてみる人が多いのかと思う。
この映画の視聴者の大多数は当然カタギであり、感情移入するなら二岡なのだ。そして二岡に感情移入すればするほど、この映画がカタギに対して受け入れやすく、緻密に練られたストーリー性のある作品と捉えられる。大上を内偵する立場から、徐々に大上を崇拝していく心の推移の最中、大上の死と直面し、大上を殺害した組に対する仇討ちを行い、さらに大上が守っていた組をも捕らえてしまうのである。これは非常に分かりやすい両成敗ストーリーであり、観る者の感情を丁寧にそこまで導いてくれる。半ば凡人であった二岡を通じて、視聴者をスクリーンに引きこめたことが任侠モノ初心者でも受け入れやすい、成功のひとつだと考える。
後はもう、各俳優陣の演技力の凄まじさに尽きる。役所広司、江口洋介、中村倫也等、皆さん凄すぎるのだが、特別凄かったのは唯一の凡人として見続けていた松坂桃李が養豚場にて行う騎乗タコ殴りシーン。殴る二岡を下から見る視点でのカメラワークとなるが、この時の松坂桃李が劇中最も恐ろしい。大上を失い、複雑な感情の中、全てを知った彼が無心で殴り続けるシーンは、恐ろしさとともに二岡に感情移入しているこちら側も泣けてくる名シーンである。
すごく体力を使う映画だが、何年かに一度見たくなる映画だと感じる。
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