ケイスケ

ファースト・マンのケイスケのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
3.7
アカデミー視覚効果賞も納得。音の良い広いスクリーンで観たのと家のテレビで観たのでは印象がガラリと変わる本作。映画館で鑑賞して、最近レンタルでも観たけどやっぱり音響はピンと来なかった笑。

本作はデイミアン・チャゼル監督らしからぬというべきか、非常に正統派なノンフィクション作品。『セッション』や『ラ・ラ・ランド』も好きな作品ですが、本作はチャゼル監督らしいクセが少なく万人向けです。個人的にはそのクセの少なさが物足りなく感じた部分はありますが。

ただ果たしてこの作品が本当に正統派ストーリーと呼べるのか。あくまで話のメインはライアン・ゴズリング演じるニール・アームストロングと奥さん役のクレア・フォイ。マイケル・コリンズやバズ・オルドリンのアポロ11号クルーは背景で、あまりアームストロングとの絡みは無し。実際のアームストロングも社交的では無かったようですし、そこはある意味リアルなのかも。

とにかくほぼニール・アームストロング目線で話が進むため、好みは分かれるかもしれません。まあ彼の自伝が基なので仕方ないですがね。しかしこの主人公の目線から見たことで彼の心情が切に伝わるし、コクピット内部などの彼目線のカメラワークも活きてると思います。あとは音の緩急が素晴らしい。月に降りた場面は鳥肌もの。

個人的には脚本を書いたジョシュ・シンガーさんの作品が大好きで。『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は2018年のマイランキング2位だし、『スポットライト 世紀のスクープ』も好き。あとなぜかFilmarksでは点数の低いビル・コンドン監督の『フィフス・エステート/世界から狙われた男』。これも最高でしょ。

あと何がいいってラストシーンですよね。チャゼル監督の映画は大体、2人の人間が向き合って終わるのですがここのクレア・フォイの表情は絶品です。アームストロングの今後を知っていると更に切なくなる。上映時間はわりかし長く、冗長な場面もありますが面白かった。何年後かにリバイバル上映でまた映画館でやってくれないかなあ。