horahuki

ナイトウォッチメンのhorahukiのレビュー・感想・評価

ナイトウォッチメン(2017年製作の映画)
3.7
死者は生きてる者より厄介ごとを起こす

オフィスビルの中で吸血鬼が大暴れ&大増殖!退路を断たれたアホなポンコツ警備員4人組が、お気になOL引き連れて脱出を試みる、ゾンビ・吸血鬼・ピエロのごった煮コメディホラー。

なんやこれ!サイコーやん!
ネトフリ見なさ過ぎなので、とりあえずなんか見ようと思ってテキトーに選んだ作品だったのですが、こんなに楽しめると思わんかった。

死因不明で全滅したサーカス団の死体がボルティモアに運ばれてくるところから始まるのですが、なぜか主人公たちが警備してるビルに人気ピエロだったプリンポの棺が誤配されてきてしまう。そいつが吸血鬼として復活してしまうのですが、何で吸血鬼になっちゃったのかは謎。でも彼らが死んだのがルーマニアだということが有無を言わせない説得力を生んじゃってるので、納得せざるを得ないという強引さがまず好きでした。

しかも、かつて『吸血鬼ノスフェラトゥ』が海を渡りペストがやってきて蔓延することを象徴したように、本作もルーマニアという異国から良からぬものが運ばれ増殖するという忠実なつくりだから尚更ですね。

ずっとアホな作品ながらも一応ホラーらしくスリリングなシーンがところどころに散りばめられているのですが、主人公含めて警備員4人のキャラがお間抜け過ぎて全部笑えちゃうから本当楽しい!特に目立ったことを何かするわけでもなく普通に吸血鬼たちから逃げてるだけのシーンですら、楽しいシーンに演出しちゃう細やかさは素直にうまいな〜と思いました。

冒頭、テーブルに突っ伏して寝てる人たちにヒロインが「サッサと仕事してよね」みたいなこと言って去ってくシーンがあるのですが、カメラをテーブルの下に動かすとそいつらが全員死んでいたことが観客にだけわかるようになっている。こういった見える部分と見えない(見えにくい)部分を意図的に作り出すことで温度差を生み出し、それにより恐怖と笑いを相互に変換させていくうまさを感じさせるシーンがところどころにあって、丁寧に練られた作品だというのが良くわかる。

元海兵隊員のベテラン警備員が途中から銃を使うのですが、クレしんの『暗黒タマタマ大追跡』で有名なグロリアこと東松山よねさんばりに一発も当たらないというポンコツぶりが一番笑った。しかも肝心な時に他からのちょっかいで命中させるとこも同じだったし、きっとコレ考えた人はクレしん好きのはず!

この監督の過去作フィルマで検索したら、面白くなさそうなのばっかり撮ってるけど、案外演出のうまい監督なんじゃないかなって思いました。他の作品も見てみたい!
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