サラリーマン岡崎

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書のサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

4.7
「ブリッジ・オブ・スパイ」が大好き過ぎて、期待のスピルバーグの社会派もの。

メディアの報道の自由を訴えながら、
根底にある人間関係を描くのが、前作と同じ。

新聞社として大統領や政府幹部と友人として交友がある中、
彼らを批判する記事を書く。
それを普通の主婦から経営陣になった女性から語る。

でも、彼女の決断は経営陣としての思想ではない。
あくまでも妻としての思想だ。
愛した夫や父に対しての敬意から、彼女は決断した。
決してビジネスとしての立場ではない。
そこにリアルがある。

俺も仕事とプライベートは分けようとするが、
意外と難しい。
仕事はどうしてもビジネスとしてのロジックを考える。
でも、いろんな人と関わる中で、仕事の決断もいろんなステークホルダーの気持ちを考えた決断が多い。
ビジネスは意外とプライベートとつながっている。
それをメリル・ストリープのチャーミングさで伝える。

一見頼りなさそうな権力者の決断に記者、校閲者、印刷者、弁護士が協働する。
それは人間味がある彼女が決断したことだから。
自分も職業柄、その一部にいるので、
普段仕事している中でも、そうやって社会に自分の意思を伝える手段かあるんだと勇気をくれた作品。

スピルバーグはただの名作監督だけで止まらず、
濃厚な社会ドラマの中で人間味を伝える超人になって、多分次作の社会派ドラマも好きになると思う。