新潟の映画野郎らりほう

嘘を愛する女の新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

嘘を愛する女(2018年製作の映画)
1.5
【カノジョは嘘を愛しすぎてる INFINITY】


パンプス、スニーカー、そして裸足…。
あの日 傷付く事無く安心して踏み出せた一歩は、庇護を失った今、歩みも困難な深い痛みに襲われている。
そして識る -彼の人の“痛み”がどれほどのものであったかを-。


上記場面をはじめ、冒頭-過呼吸への介抱と 終局-薄弱呼吸への介抱等、対照/反復に依って語らんとする映画的話法の志向は“一応”見て取れる。

であるならば、風や波音にも心象を顕在化してみせる配慮がほしいところだが-。

脱輪した車両を渾身で押す長澤まさみ。“現実的”に鑑みれば車両はピクリとも動かないだろう。
でもこれは現実じゃない「映画とゆう“嘘”だ」。

なぜそこで現実を超越しようとしない。なぜそこで現実に従属する。

絶対に自力で前に進もうとする彼女の強い気持ちを顕在化するならば、あそこで車両は絶対に動くべきだ。
監督は、ガンシップコクピット内ハンドルを素手でもぎ取る「風の谷のナウシカ」の“強い気持ち”の表現をよく見ろと。


「嘘を愛する女」を描く前に 監督自身が先ず映画=嘘を愛するべきだろう。




《劇場観賞》