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ザ・フォーリナー/復讐者のTEPPEIのレビュー・感想・評価

ザ・フォーリナー/復讐者(2017年製作の映画)
3.1
日本公開するかは定かではないが、The Foreignerはチャイナマンという原作を基にジャッキー・チェン、そして007だったピアース・ブロスナンの共演作である。全米ではそこそこ、中国ではさすが大スター主演とあって大ヒット。最近何かとハリウッドは中国資本で映画を作ることも多いが、それは近年の中国市場が強いからだろう。やっぱり市場がある以上、資本も作品もそれに向けて作るのは当然かと。実際一方的なヘイトもどうかと。だから日本も10億円いけばヒットな世の中どうにかならんのかな〜ってふと思いながら鑑賞。
63歳のジャッキーは今回もノースタントで手術翌日に撮影もこなしてしまう凄さは相変わらずで、この作品でもジャッキー節は健在だ。The Foreignerは娘を爆破テロで失った父親クァンが、ブロスナン演じる首脳大臣に実行犯を問い詰めるところから始まる。全編通して娘を失い、大切なものを失ったジャッキーの哀愁は見事な演技で地獄行ってきたみたいな表情が垣間見える。物語自体はかなりシリアスでForeignersのテーマもよく扱われており、マーティン・キャンベル監督のスリル・サスペンス演出が光っている。ストーリー自体はスリルがあるのだが、あのほら「96時間」とか邦題を盛大にやらかした映画でもあったリーアムの最強父親とは違い、けっこう慎重派で硬派な父親像をジャッキーは見せてくれる。こういう暗いジャッキーも渋くていいのでは…と思えたので、別にジャッキーじゃなくてもいいやこの映画と思う程ではなかった。ただこれキャラクターの位置的に主役であるクァンが凄い邪魔な存在で、行き過ぎた復讐というよりただの迷惑行為のほうが多かった。
しかも結構プチランボーをかますジャッキーと、全然冴えないオッさんのピアース・ブロスナンが終始頭を悩ます姿が、どうも映画のトーンのアンバランス感を生んでしまっている。ここまでリアリティを追求するなら、人物の行動もリアリスティックにして欲しかった。端的に言えば、色んな行動にツッコミたくもなる。この映画見方によってはみんな悪党で利己的な方々なので、もう少し人物の背負っているものを描写しても良かったのではないか。延々と説明的で、たまに薄味なアクションが入るというパターン。かなり普通。ブロスナンがなんで敵役扱いされてるのかも不憫。
「ゴールデン・アイ」と「カジノ・ロワイヤル」で007に新しい風を吹き込み、「グリーン・ランタン」でなんか血迷ったマーティン・キャンベル監督のスタイリッシュで物静かなアクションは作品のトーン自体には合っていた。ちと蛇足な部分が多かった印象。
総評として''The Foreigner''はジャッキーの新しい部分を見せてくれるが、それに映画のストーリーや構成がついてきてないので普遍的になっている。ブロスナンはジジイになったなぁってひたすら見ながら思ってしまう。とりあえず不自然なんだけど、スリル・サスペンスとしてはもう少し欲しいと思える。やっぱりジャッキー・チェンはすげぇなぁ、歳食ってしまってもノースタント貫く彼を見るだけでも見応えはある。
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