新潟の映画野郎らりほう

デトロイトの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.0
【各々に棲む悪魔】


強い権力を与えられた者と力持たぬ者が 狭小空間を共にした時、理性 -そして個性- は亡失され 人はどこまでも暴走する - 役割・地位・状況・場面・雰囲気にただ"流されるまま"の 権力盲目従属者“権威主義的パーソナリティ”の末路が如何様であるかは、当該事件はじめ スタンフォード大模擬監獄実験等でも明白である。
「アメリカの病巣」だとか「人種差別」等の 他人事 及び単純図式化した読解アプローチそれ自体が、自身にも潜む悪魔に無自覚である事の宣言と為ってはいまいか。
ハンナアーレントが愕然としたアドルフアイヒマン然り、“自覚無き殺戮者”は 近傍にごく普通に居るのだから-。



《追記》
前後半各々にあるドラマティックスメンバーの歌唱場面。その時の ある人物の不在が鮮烈に胸に迫る。
或いは、祈りへと昇華される歌唱(若しくは歌唱へと昇華される祈り)等、歌曲モチーフは悉く反復され ドラマをより味わい深いものとしている。




《劇場観賞》